効く治療法が確立されていないため、対症療法しかない

 これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかり、肺炎を起こした妊婦9人の症例を分析したもので、子宮内での垂直感染の可能性や胎児や新生児にどんなリスクがあるかを検討したものです。この中国の論文によれば、検査ができた6人の羊水やさい帯血、母乳などからウイルスは検出されず、9人全員が無事に出産したといいます。

 ただし、これは妊娠後期に感染した妊婦さんを検証したものであり、COVID-19感染が妊娠初期または妊娠中期の胎児に及ぼす影響は明らかにされていません

 母子垂直感染が見られない場合、治療はシンプルです。妊娠中に感染した場合、風邪やインフルエンザ同様にお母さんの治療をし、治れば赤ちゃんに影響はないと言えます。ただし今のところ、特効薬はなく治療法が確立されていないので、対症療法となります

試験中の治療薬は妊婦も使える?

 新型コロナウイルスによる肺炎の治療薬については、3種類の薬を中心に患者で試すと政府が発表しています。

 1つはエボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」(国際共同治験に参加)。残る2つは国内でも投与・検証し始めていて、抗インフルエンザ薬として注目されている「アビガン」と、抗エイズウイルス(HIV)薬「カレトラ」です。ただ、アビガンについては使用によって胎児への副作用の可能性があることから、妊婦は使用できません。

 こうなると、予防=一人ひとりの水際対策が重要なのですが、僕は赤ちゃんがおなかにいるお母さん、そしてそのパートナーに基本的なことをしてほしいと思っています。