2030年までに達成すべき目標を定めた「SDGs」(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)」は今や、中高生はもちろん小学生にも浸透しつつある。むしろ知らないのは親のほう……。ビジネスシーンでも不可欠の知識となりつつあるが、本当の意味で喫緊の課題という実感はあるだろうか。

SDGパートナーズの田瀬和夫氏は、「企業にとって今やSDGsへの取り組みは『なぜやるの?』から『なぜやらないの?』という局面に変わっている」と話す。企業がすぐにでも、SDGsに取り組むべき理由とはどのようなものか。

SDGsはすでに「CSR」の一環ではない

 連載の第1回では、企業がSDGsに取り組むべき本質について解説してきた。ビジネスにおいても企業規模にかかわらず、「SDGsが人材確保の新基準となっている現状」などをお伝えした。その際の、参考にされているのが「ESG投資」の観点だ。

 ESGとは、Environment、Social、Governanceの略で、ESG投資は、環境対策や組織の多様性、経営の透明性などを指標化し、スコアの高い企業に投資する手法を指す。田瀬氏は、SDGsへの取り組みには、「攻め」と「守り」の両方の側面があるというが、その「守り」に位置付けられるのが、企業の資金調達に直結するこの「ESG投資」なのである。

 「 欧米の投資家はすでに、『ESGスコア』の高い企業を選んで投資しています。スコアの高い企業は、『人間でいうと内臓が健康な状態。長い目で見ると成長を期待できる企業』です。グーグルやフェイスブックはハイスコアを維持していますが、日本企業の多くは、 両社の半分程度の水準にとどまっています」

 田瀬氏によると、ハイスコアの企業は、長期的に株価が上昇したとの調査結果もすでに出ているという。では、ESGスコアの評価材料となるのは、具体的にどのようなものか?