2030 年までに達成すべき目標を定めた「SDGs」。ビジネスシーンでも不可欠の知識となりつつあるが、本当に喫緊の課題という実感はあるだろうか? 次世代へと命をつなぐデュアル世代が、社会人として、親として、SDGsの何を知りどうアクションを起こすのか。1回目は、SDGs専門のコンサルティング会社を経営する田瀬和夫CEOに、「今すぐ知らなければまずいSDGsのリアル」を聞いてみた。

衝撃! デュアル世代は子どもよりもSDGsに疎い?

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 ある日、地元の公立小に通う6年生の長男が「今日の宿題、スピーチコンテストの練習だから聞いて」とやってきた。そしてやおら、「僕は海の豊かさを守るためには、プラスチックごみを捨てないことだと思います。海の生き物がごみを飲みこんで、死んでしまうからです……」と演説をぶち始めたではないか。

筆者:「そ、それってひょっとしてSDGs?」
息子:「そうだよ。好きな目標を選んで、スピーチのテーマにするの」

 確かに彼のノート には、17の目標が書き並べられていた。

 2030年までに達成すべき目標を定めた「SDGs(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)」は今や、中高生はもちろん小学生にも浸透しつつある。むしろ知らないのは親の方……。授業でSDGsを取り上げた、ある高校教師は「SDGsの認知度は、学生より40代以上の方が低いです」と話す。

 今後はビジネスにおいても、SDGsを踏まえた経営戦略が欠かせない。だが、まだまだ危機感を持ってそれを理解するデュアル世代は多くはないかもしれない。田瀬和夫氏は「なぜ、今SDGsを知らなければまずいのか?」の理由についてこう説明する。

 「今の高校生、大学生の多くは、就職活動をするにあたって、ここ数年の売上高や利益率より、働きがいがあるか、女性が活躍できるかどうか、といったSDGsの取り組みを重視しています。実際に、2020年卒の就活生を対象とした日経キャリアマガジンでは、『企業選びの新基準はSDGs』だと、大きく見出しをつけていました。企業規模に関わらず、優秀な人材獲得のためにはおしなべてSDGsに取り組まなければいけない時代がすでに到来しているのです」