SDGsの目標は個々に独立しているのではなく、すべてつながっている

 MDGsとのもう一つの違いは、SDGsが後進国だけの問題解決ではなく、先進国も巻き込み「全世界が行動すべき目標」として設定されたことにある。

 グローバル企業のサプライチェーンの末端には、少しでも安い労働力を求めて、途上国の工場が連なっていることが多いが、こうした製造現場での児童労働や過重労働がしばしば報じられている。グローバル企業は、たとえこの現場が下請けの下請けで契約関係すらなくとも、「知らなかった」では済まされない。先進国が投資した途上国のインフラ開発の過程で、環境破壊が起きるといったケースも同様である。

 つまり、一つひとつの課題を個々に捉えていては、目標は達成できないのだ。

 先進国が主体的に取り組まなければSDGsの17の目標は解決できないし、目標同士のつながりを踏まえて取り組まなければ、個々の目標も解決できない。「リンケージ(連携、つながり)」が重要なカギを握っているのである。

 例えば、もしも企業が、目標9の「産業と技術革新の基盤作り」だけを推し進めれば、 先進国と途上国の格差が開き、目標2の貧困や飢餓に苦しむ人は減るどころか、増える恐れがある。目標7の「持続可能で近代的なエネルギー」を重視するあまり、再生可能エネルギーへの移行を急げば、産業や人々の暮らしに打撃を与えかねない。

 人々の生活水準の底上げと、天然資源や生態系の管理をバランスよく進め、持続的な成長につなげるというのが、SDGsの目指す方向であるためだ。