格差を広げ、人々の選択肢を狭めた「MDGs」の教訓を反映する

 SDGsは2015年に国連で採択された、2030年までの全世界的な達成目標であり、貧困の解消やジェンダー平等、気候変動対策など17の項目がある。2001~2015年に実施された「ミレニアム開発目標(MDGs、Millennium Development Goals)」を引き継ぐ形で策定された。これらの詳しい内容は『SDGsについて、子どもと話すために知りたいこと』をご一読いただきたい。

 ビジネスの最前線にいて、かつサスティナブルな未来を目指すべきデュアル世代が知っておきたいのは、さらにその一歩先にある「SDGsの本質」だ。

 田瀬氏はそれについて、「SDGsが目指しているのは、全世界すべての人が多くの選択肢を持ち、より自由に生きられる社会を実現することです」と説明する。

 SDGsの前身にあたるMDGsの失敗を知っているだろうか? 極度の貧困・飢餓の撲滅や初等教育の完全普及など、8つの目標を掲げていたMDGsだったが、乳幼児の死亡率削減など目標の一部を達成できず、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国など、取り組みが遅れる地域も出てしまった。なぜか。

SDGパートナーズ代表取締役CEOの田瀬和夫さん
SDGパートナーズ代表取締役CEOの田瀬和夫さん

 「MDGsは成長重視の目標で、国の上位層に富が蓄積されれば、シャンパンタワーのように徐々に一般市民に富の分配が行われるという思想が根底にありました。しかし効果はほとんど現れず、結果として、格差は広がり、人々の選択肢が狭まってしまいました。SDGsの中心に据えられているのが『誰一人取り残さない』社会なのは、過去の失敗を繰り返さないという確固たる決意に基づいているからです」