カルビーが実施するポテチの賞味期限2カ月延長

 大手食品メーカーにも近年、SDGsの観点から少しずつ、食品ロス削減の取り組みが広がっている。

 カルビーは昨年10月から、一部を除いたポテトチップス商品の賞味期限を、従来に比べ2カ月長い6カ月間に変更した。酸化しにくいよう油の配合を改良し、原料の保管方法や製造工程を見直した結果、味と品質を落とさず賞味期限を延ばすことに成功。店頭での廃棄抑制を狙い、賞味期限から日付を削除して年月までの記載に変えている。

 同社は1973年、スナック業界で初めて、品質保持のため商品に製造年月日を印刷したことで知られる。ただ近年、世界の穀物需要がひっ迫する中で「フードロス削減は世界的な課題」と認識。数年前から社内で賞味期限延長の検討を進めており、その一環として賞味期限から日付を削除することも決めたという。

 また大手外食チェーンのすかいらーくホールディングスは、客が量を選べるよう、ご飯なども大盛りと普通盛りに加えて、少なめを用意。高齢の客などから「残すのは気が引けるので、小さいサイズがあるのはありがたい」と好評だという。食べきれなかった料理を持ち帰りたいと客から要望があれば、持ち帰り容器を渡している。

 広報チームの北浦麻衣さんは、「食を提供する企業として、食品ロスへの対応を着実に進めることは、長い目で見ればビジネスを持続可能にすることだと考えています」と話す。

 同社では昨年7月、グループ全店のプラスチック製ストローの全廃を発表した時も、好意的な反響が多数寄せられたという。

 「最近では、高校生や大学生からの『食品ロスなどの環境対策はどうしていますか?』という問い合わせも増えています」(北浦さん)

 「大企業からTABETEへの出品も増えている」と語るのは、コークッキングの川越さんだ。

 「恵方巻に代表されるように、今は企業の食品廃棄がすぐ、世間に知られる時代です。その反面、廃棄を減らせば環境報告書に『処理に伴う二酸化炭素を何トン削減できた』と記載することもできる。企業経営の上でも、食品ロス問題にきちんと取り組んでいることを明確に示す必要性が高まっているのです」

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取材・文/有馬知子 イメージ画像/PIXTA