教育関連の起業家へのインタビューを通じて、教育の問題点や理想の姿を探るリレー連載。3回目に登場いただくのは、学習コンテンツクリエイターで、すなばコーポレーション代表の門川良平さん。ベネッセコーポレーション、小学校教員、文響社うんこドリル事業のプロデューサーなどを経て起業し、SDGs(持続可能な開発目標)の学習ゲーム「ゲット・ザ・ポイント」をワークショップで広げている門川さんに、自身のキャリアを通じて感じている教育の課題や自身の子育てなどについて、前後編に分けて聞きました。

<門川良平さん>
【前編】「理想の教育」は青い鳥? 伝える方法は自由でいい ←今回はココ
【後編】社会人経験後、教員に 教育を「教育村」にしたくない

「理想の教育」という青い鳥を探してさまよう

 「『いつまでに○○を習わせなきゃ』のような、『子育てはこうあるべきだ』という考えにとらわれて頭でっかちになり、悩んだ時期もありましたが、最近は、親子で一緒に楽しむことが大事だという考えに行き着きました」とすなばコーポレーション代表で、学習コンテンツクリエイターの門川良平さん。門川さんは、小5と年長の男の子を育てる共働きパパでもあります。

 「教育の話をすると、青い鳥のように、どこかに理想の教育があると思ってさまよい歩くようなイメージがないですか。子どもへの愛や次世代への思いがあるから、理想の教育を追求してしまうのだと思いますが、私は『教育』という言葉をかなり自由に大きく捉えていて、世代間で生きる術などを伝えていくことではないかと考えています。

 ただ、今の時代、その『生きる術』がどういうものなのかが見えにくくなっているから難しいですよね。何が正しいのかも分からないといった迷いがあるから、『どこかに理想の教育があるのでは』と青い鳥を求めるように正解を求めてさまよい歩いてしまうのかもしれません

 大学時代に、ゼミの研究で不登校の小中学生の支援をしているフリースクールを知り、ボランティアを2年間していたという門川さん。「それがきっかけで人の成長に携わりたい、と思いました。いわゆる普通の学生だったので、映画業界にも教育業界にも興味があったのですが、結果的に教育方面に進みました」

 ベネッセコーポレーションで教材編集からキャリアをスタートし、マーケティングや経営企画などに関わりながら10年間勤務した後、小学校教員を経て、文響社でうんこドリル事業のプロデューサーを経験し、2019年に起業しました。

 「子どもたちに伝えなきゃいけないこと、伝えたいことはいろいろありますが、そのまま伝えても面白くない。それをどうやったらうまく伝えられるかということは、社会人になってからずっと考え続けていました。少し先を生きている人間が、次世代に対して、自分たちが思うなりの生きる術を伝えたり、共に考えたりしていくことが教育のコアだと思います。プロデューサーとして関わった『うんこドリル』シリーズもそうでしたが、伝える方法はもっと自由でいいと思います」

 そうした思いが結実したのが、自身が開発した、SDGsを楽しく学ぶボードゲーム「ゲット・ザ・ポイント」です。「面白そうだから」という気持ちが行動の原動力になっているという門川さん。このゲームにも、面白いからこそ小学生に自分事として興味を持ってもらえるはずという狙いが組み込まれています。

「ゲット・ザ・ポイント」のワークショップの様子
「ゲット・ザ・ポイント」のワークショップの様子

次ページから読める内容

  • 小学生が楽しいと思う要素をふんだんに
  • 途中で問いを投げかけたり、話し合いを挟んだりして導く
  • 絶対的な答えがないからこそ
  • 「マネタイズは思いつかないけど面白いからやっちゃえ」

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