教育の問題点や理想の姿を探るリレー連載。今回ご登場いただくのは、「地域をキャンパスに、日本を巡りながら学ぶ」をコンセプトとする「さとのば大学」の発起人・信岡良亮さん(アスノオト代表取締役)。社会が変わりつつある中で、「消費的快楽より創造的快楽を味わえるようになってほしい」という思いを抱く信岡さんに、今回の後編では、大学をつくるに至った経緯や、「実践で学ぶ」ことのメリット、今子育て中の親が意識しておきたいこと、などについて聞いていきます。

<信岡良亮さん>
【前編】大学の価値を再考し、「日本版ミネルバ大学」を設立
【後編】「消費的快楽」よりも「創造的快楽」を楽しめる人に ←今回はココ

きっかけは環境問題

 「もともと興味があったのは、教育というより、環境問題でした」という信岡良亮さん。同志社大学卒業後、ITベンチャー企業で働いていた信岡さんは、働き過ぎて体を壊したこと、また環境問題に興味を持ったことから、経済成長至上主義に疑問を抱いたと言います。

 「東京で環境問題の勉強会などに参加していたのですが、あるセミナーの参加者が『こうやって土日に地球にいいことについて勉強するのだけれども、月~金曜日は大量生産をしてしまう。この矛盾をどうしていいか分からない』と。なるほどと思いました。

 地球を壊していくための渦(うず)を月~金曜日まで本気でつくり出している。一方で、地球をよくするための渦は、土日でボランティアのようにやっています、というバランスでは地球を壊すための渦のほうが強いエネルギーで回っているので勝てないと思いました」

 そんな中、島根県の海士町が「島をまるごと持続可能にする」ビジョンを掲げているのを知りました。「海士町では島の県立高校の生徒数が減って統廃合の危機に陥ったことから、県外から『島留学』できるという仕組みをつくるなどの高校魅力化プロジェクトが始まっていました」

受講生の地域での体験の様子(島根県海士町)
受講生の地域での体験の様子(島根県海士町)

 信岡さんは、持続可能な社会について学ぶための大学を島につくるというプロジェクトの企画書を持ち込んで海士町に移住しました。「教育機関というよりも学習機関をイメージし、一緒に学ぶための場をつくるという感覚でスタートしています。島自体が持続可能になっていくプロセスも学びになるのではないかと思いました。地域に教育産業をつくりながら、環境問題に興味のある人が学ぶ場所をつくることで仲間がどんどん増えていくような学びを自分自身がしたい、と考えたのです。まずは島で会社をつくり、2008年から、3泊4日程度の企業研修の受け入れや、大学生が研修に来る学びの場を提供することなどに取り組んでいました」

次ページから読める内容

  • 実践しながら学ぶことでやるべきことが見えた
  • 「学びの面白さ」を知っている人を増やすことが課題
  • 小学生のうちから家庭でやったほうがいいこと

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