インタビューを通じて、教育の問題点や理想の姿を探るリレー連載。4回目に登場いただくのは、コロナ以前の2016年からオンラインで子ども向けのリベラルアーツの学びの場を提供しているCo-musubi創設者、井上真祈子さん(一般社団法人ダイアローグ・ラーニング代表理事)。国内外での2児の子育て経験などを通じて教育について自身で探究し続け、「教育の選択肢を増やしたい」と話す井上さんに、後編では、小学生時代からリベラルアーツを学ぶ意味や、後伸びする子どもとの関わり方などについて聞いていきます。

<井上真祈子さん>
【前編】忙しいと子に指示出すしかない 「負のサイクル」が課題
【後編】学びの範囲広げれば子は後伸び 小学生にリベラルアーツ ←今回はココ

オンラインだからこそかなえられること

 「保護者や大人の思惑からではなく、子ども側を起点として学びをスタートするには、1人の子どもに対して手厚い大人の手が必要です。それを学校などの教育現場や習い事などの教育事業で取り組もうとすると、コスト面で無理が生じるので、これまで実現してこなかったという歴史があると思います」

 習い事ではなく、「親子のラーニング・コミュニティ」をつくりたいと、コロナ以前の2016年からオンラインで子ども向けリベラルアーツの学びの場を提供しているCo-musubi創設者、井上真祈子さん(一般社団法人ダイアローグ・ラーニング代表理事)。オンラインという「新しい技術」を使うことで、「日常と学びをシームレスにつなげて、家庭を学びの場にする」という、新たな挑戦が可能になったと言えます。

 「そばにいる家族が、一緒に学んだり、楽しんだりしてサポートできれば、子どもを起点とした学びを実現することが可能ではないかと考えて、家族をつなぎ、それを私が支援するという仕組みを考えました。オンラインという手法により、日常のすべての場を学びにしていくことができます

 Co-musubiには、首都圏だけでなく大阪や名古屋からの参加者もいます。「オンラインで実施すると、土地に縛られません。こういう学び方がしたい、学び方が似ている、といった属性で集まることが可能です

 学ぶ内容は、教科学習ではなく、子ども向けのリベラルアーツです。リベラルアーツは日本では「一般教養」と捉えられることも多い言葉です。「本来リベラルアーツとは、人の精神を自由にする技術を指します。リベラルアーツからそのエッセンスを抽出して、学びのテーマ設定やプログラムデザインに生かしています。

 学校を軸とした伝統的な教科学習の学びを否定するわけではありません。ただ、ルクセンブルクで暮らして、わが子がインターナショナルスクールも経験し、これほど急激に変化する世の中では、いわゆる教科的な教育だけではカバーしきれないのでは、と実感しました。

 教科的な教育は、どの子にも学びやすいように切り分けられたものを、子どもに与えて吸収させて、積み上げていくような学ばせ方です。落としもれが少なく、多くの子どもたちが幅広く、たくさんの量の知識を学んでいくことができます。でも実際の社会はそんなにきれいに切り分けられていません」

次ページから読める内容

  • 教科教育も創造性を育む学び方もどちらも大切
  • 偉人や生き物になりきって会議する意味
  • 持続可能にするために
  • 中学受験の勉強は「面白い内容」

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