第1子の産後にマネジャーに昇進。成果を見てくれるフェアな会社だと実感

 「子どもができてもキャリアスピードを落とさずに働いていきたい」というキャリア観を持つ茂木さんですが、子どもを産む際に不安になったり、不利に扱われたりすることはなかったのでしょうか。

 茂木さんが第1子を出産後に復帰した2014年ごろは、アクセンチュアでもワーキングペアレンツに対する理解が十分ではなかったと振り返ります。「復帰するときに、これまでしてきたクライアントに対する仕事ではなく、内勤のような仕事の選択肢があるよ、と提案を受けました。そういう環境を用意することが、子どもがいる女性への配慮だという考え方からだったのでしょう。その考え方は、優しいように思えますが、本人が求めていないことかもしれませんよね。そういう点では、当時はまだアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)があったなと思います」

 子どもが生まれてからもクライアントと相対するチャレンジングな仕事をしたいと思っていた茂木さんにとってその「優しさ」は、ゆるキャリ(子育てや家事などを優先してゆるやかに働くスタイル)を勧められているようで違和感を覚えるものでした。

 「その後、アクセンチュアでも管理職層、今は全社員に対してアンコンシャス・バイアスのトレーニングが行われるようになりました。育休復帰に際しては、本人のキャリア観を認めて、会社はそれにあった環境探しをするというサポートの仕方に変わってきたように思います」(茂木さん)

 第1子での復帰の際、茂木さんは配慮に違和感を覚える半面、自社の良さにも気付いたと言います。「私は出産前にマネジャーに昇進したいという目標があり、努力していたのですが、実現できないまま育休に入ることになりました。しかし、産前の実績が評価され、育休中にマネジャーに昇進したのです

 育休に入るというとキャリアパスを外れるように捉える会社もあります。しかし、当社では育休中かどうかは関係なく、実績を見て評価していたことで、フェアなところがある会社だと思いました」。茂木さんは2度目の復帰時も、育休前のパフォーマンスが評価され、復帰後すぐにシニア・マネジャーに昇進しています

キャリアアップに制約の有無は関係ないと後輩に伝えたい

 茂木さんがワーママのキャリアを切り開く一方で、妻とフェアな育児参画を求められてきた池永さん。アクセンチュアではそんなワーパパの姿がごく当たり前に受け入れられていると話します。

 「第1子誕生のころから僕の周りには育児に参加するワーパパがいました。そのため、保育園のお迎えや病児の看病をしていても、僕がレアケースと思ったり、働きづらさを感じたりしことはありません。むしろ保育園の保護者会やイベントに行くと、いまだに男性が少なくて僕だけ浮いてしまうんです。一般的には、ママのほうがまだ出番が多いのだなと感じています」

 茂木さんがリーダーを務めるプロジェクトにも「明日は保育園へ送っていくので、●時には間に合わない」と事前に調整をしたり、夕方いったんお迎えに行き、仕事に戻ったりする男性は珍しくないといいます。

 「社内にそれぞれの仕事の進め方を認め合う空気が醸成されているからでしょう。男性でも女性でも、自分のペースで仕事と育児を両立することについて、他の人から何か言われるような雰囲気は全くありません。私がそうだったように、その人に制約があるかどうかにかかわらず、成果を出せば評価される会社だということを、後輩のワーキングペアレンツにも伝えていきたいですね」(茂木さん)

■アクセンチュアのインクルージョン&ダイバーシティについて

取材・文/福本千秋 写真提供/茂木・池永さん