2021年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業の取得率は13.97%で過去最高でした。しかし、女性の取得率85.1%との間にはまだ大きな差があります。今後、より多くの男性が育休を取得するには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。育休を取得した外資系総合コンサルティング企業アクセンチュアで働く2人のパパが、育休経験で得られたことや、男性が育休取得をためらう背景について語り合いました。

育休中に、パパ1人で子どもを見られるようにしておいた

 今回の記事に登場するのは、アクセンチュアでシニア・マネジャーとして働く高橋 郷さんと、スペシャリストの花田祐輔さんです。高橋さんは現在8歳の長女が生まれてすぐに3カ月の育休を取得しました。花田さんは長女が6カ月の時に育休をスタート。両親がともに育休を取得することで利用できる制度「パパママ育休プラス」によって、1歳2カ月まで育休を取得しました。2人とも妻もフルタイム勤務の共働きです。高橋さんは社内で男性育休の取得を促進する活動にも携わっています。

 育休を体験することで得られたことや復帰後の働き方の工夫、育休取得をためらう男性へのアドバイスや課題を聞いていきましょう。


編集部(以下、――) 育休中の過ごし方を教えてください。

<b>高橋 郷さん</b><br>テクノロジー コンサルティング本部 シニア・マネジャー<br> 2005年に中途入社。Webシステムの設計・開発・運用保守に従事。昨今は官公庁や製造流通系の大規模SI案件を担当し、チームを管理している。また、男性の育休取得を促進する活動にも参画。8歳の子どもと共働きの妻の3人家族。子どもの生後すぐから3カ月間育休を取得した
高橋 郷さん
テクノロジー コンサルティング本部 シニア・マネジャー
2005年に中途入社。Webシステムの設計・開発・運用保守に従事。昨今は官公庁や製造流通系の大規模SI案件を担当し、チームを管理している。また、男性の育休取得を促進する活動にも参画。8歳の子どもと共働きの妻の3人家族。子どもの生後すぐから3カ月間育休を取得した

高橋さん(以下、高橋) 家事も育児も夫婦間の役割分担は決めずに、そのときにできるほうがしていました。そのほうが相手がやってくれるだろうとあてにすることもなく、お互いにストレスがないと思ったからです。私もおむつ替えやお風呂など、男性にできる育児は全て率先して行っていました。

―― 「そのときにできるほうがする」というルールだと、片方ばかり気づいて、負担が偏ることはなかったですか?

高橋 育休中はそういうことはなかったです。「私はこれをやるから、あっちを頼める?」とコミュニケーションを取ることを意識し合っていたからかなと思います。育児に関わる負担は、子どもの成長と共に変わってきたので、それによる家事の偏りは出てきましたね。

―― 花田さんも最初の6カ月は夫婦同時の育休でしたね。

<b>花田祐輔さん</b><br>テクノロジー コンサルティング本部 スペシャリスト<br>2017年に新卒入社。アクセンチュア・イノベーションセンター福島所属。会津若松市スマートシティプロジェクトでシステムの設計開発運用を担当。保育園に通う1歳の子どもと共働きの妻の3人家族。子どもが生後6カ月の時から8カ月間育休を取得した
花田祐輔さん
テクノロジー コンサルティング本部 スペシャリスト
2017年に新卒入社。アクセンチュア・イノベーションセンター福島所属。会津若松市スマートシティプロジェクトでシステムの設計開発運用を担当。保育園に通う1歳の子どもと共働きの妻の3人家族。子どもが生後6カ月の時から8カ月間育休を取得した

花田さん(以下、花田) 私と妻の両親の助けが得にくい状況だったため、2人だけで家事・育児を回せる体制をつくっておかないと、復帰後に生活が成り立たなくなるという危機感がありました。そこで、夫婦それぞれが育児を1人でこなせるように、メイン担当を日ごとに分けていました。メイン担当ではない日も手伝いや家事は行っていました

 育休に入ってすぐの頃は、私が妻の大変なタイミングに気づかなくて注意されたりすることもありました。そこで一日にすべき育児のタスクを一覧化し、この育児ではこういう作業がある、こっちの育児では手伝いが必要、という認識を擦り合わせていきました。おかげで互いに信頼して育児を任せられるようになりました。

 赤ちゃんを抱っこして1人で出かける大変さも経験しました。例えば、赤ちゃん連れで買い物に行くと、いつもは簡単な袋詰めも困難に感じたり、買い忘れをしてしまったり、制限を感じることが多いことに気づきました。このような大変さを私はあまり想像できていなかったのですが、娘と一対一で向き合う時間があったから気づけたことだと思います。

―― 2人とも子どもを1人で見られる育児スキルを身に付けたのですね。

高橋 妻が海外出張で数日家を空けたときも、ワンオペで対応しました。妻も私が子どもの面倒をすべて見られることを知っていたので、安心して出張に行けたようです。

花田 わが家も妻は出張が多く、そのときは私と娘だけになります。夫婦間で育児を100%スイッチングできるのは、お互いに安心感がありますね。

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