完璧主義のプレWPには「完璧の再定義」を提案

 続いては、荒木さんが気になることに先輩WPたちがアドバイスしていきます。

【荒木さんの不安】
・時間に限りがある中、仕事、家事、育児を回していけるか不安

 完璧主義な性格を自覚している荒木さんは、「家事はサボってもいいというアドバイスを聞いても、部屋が汚いとモヤモヤしてしまいます。仕事に関しても同じで、どうやって自分の期待値を下げるかが悩ましい」と話します。この不安に対して馴松さんは、自身の両立TIPSを紹介。「使える制度や外的サービスは使い、子どもを持つ前の価値観にとらわれず、自分らしく自由でいることが大事だと思う」とアドバイスします。

【馴松さんの両立のTIPS】

1 社内制度・特性の活用
「アクセンチュアはプロジェクトごとに配属されるジョブ型であることを生かし、できるだけ自分の状況に合った仕事を、社内で相談しながら探しました。その結果、復帰したときはフルタイムだったのですが、途中で時短に切り替えた際もスムーズに配属先を変更することができました。社内制度を積極的に使うことを是とする雰囲気があることも背中を押しました

2 外注の積極的な活用
家事、育児の外注は積極的に活用したほうがいいと思います。わが家も数週間に1度、家中の拭き掃除や水回りなどの掃除をお願いしています。家が汚れたり、散らかったりしていても、お掃除のタイミングできれいになるので精神衛生的にもおすすめです」

3 マインドセットの柔軟化
「高いクオリティーを目指すことは大切です。そこでおすすめしたいのが『完璧の再定義』です。以前の基準に合わせた完璧を目指すのではなく、親として成長した自分の価値観や、新たな環境に基づいた完璧を再定義してはどうでしょうか。その際は、自分だけで考えるのではなく、クライアントや同僚と丁寧に対話を重ね、この仕事における高いクオリティーとは何か、ゴールはどこかを探るのがよいと思います」

 アドバイスを聞いた荒木さんは「自分の環境を所与の条件としてゴールを再定義することは、気持ちの切り替えとして大事だと思いました」と共感。「社内制度を使うこと、家事や育児を外注することなども含めて、マネジメントすることが、自分の新しいスキルになるのでは」と安心した表情を浮かべました。

 打尾さんは「WPは、時間や量では勝負できなくなります」といい、パフォーマンスを上げるために実践している、朝時間の使い方を披露しました。その流れは次の通りです。

【メンタル・体のコンディションを整える打尾さんの朝活動の内容】

5時 起床(早めに寝て、睡眠は7時間は確保)

・筆記開示
 「モヤモヤしていることをノートに書き出すと、その後のタスクにフォーカスしやすくなります」
・当日のタスク整理
・ストレッチ
・マインドフルネス(アプリを活用)
・勉強
 「日中は業務、土・日曜は子ども中心なので、仕事やキャリアアップのための学びはこの時間に行います」
・家事
 「洗濯、朝食、小学生の上の子の送り出しなど」
・仕事のスケジュール整理
 「ミーティング以外の時間に30分単位でタスクを入れていきます。仕事中はタイマーを使い、生産性が高まるように意識しています」

8時30分 始業(在宅勤務)

 「3時間でこんなにたくさんのことを。勉強もするなんてすごい」と驚く羽生に、打尾さんは「勉強の時間が楽しみで早起きしています」と返答。「朝は頭がよく働くので、同じ30分でもいろいろなことが考えられます。だからこそ朝の時間を大切にしています。ただ、朝活も根性やモチベーションだけで続けるのは難しい。しんどくならないようにシステム化をするのが継続のポイント。例えば子どもを早く寝かせて自分も早く寝れば、早起きがしやすくなりますよ」

 荒木さんは「セルフコントロールを見習いたい」と感心し、福本さんは「社会人としても見習っていきたい」と刺激を受けた様子です。

 最後に羽生が、「私も高校生と中学生の2児を育てています。まだ子どもが小さい皆さんの話を聞いて、わが家にも、そんな時期があったなと思いました。その大変さがあったからこそ、今、夫婦があうんの呼吸で動けているのかなと思います。家族にとって重要な時期を過ごしている皆さんをこれからも応援していきます」とメッセージを送り、セミナーは幕を閉じました。

取材・文/福本千秋 撮影/辺見真也

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