コロナ禍でリモートワークが一般的になったことは、ワーキングペアレンツの子育てや両立に多様性をもたらしています。今回紹介する事例もそのひとつ。外資系総合コンサルティング企業アクセンチュアの今里 凌さんは、第1子出産をきっかけに、東京から実家のある地方へ拠点を移し、約1年間ほぼリモートワークで勤務しました。地方拠点になることへの不安や仕事への支障はなかったのでしょうか。また、育児面ではどのようなメリットがあったのでしょうか。現在は東京に戻っている今里さんに話を聞きました。

産後すぐに育児をスタートできるように夫婦で里帰り

今里 凌さん<br>アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 アソシエイト・マネジャー。2019年入社。同社の都内オフィスを拠点に働いていたが、2021年に第1子が誕生する際に福岡の実家に家族で引っ越し。リモートワークでの勤務を続けながら子育てをスタートさせた。現在は東京拠点に戻っている
今里 凌さん
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 アソシエイト・マネジャー。2019年入社。同社の都内オフィスを拠点に働いていたが、2021年に第1子が誕生する際に福岡の実家に家族で引っ越し。リモートワークでの勤務を続けながら子育てをスタートさせた。現在は東京拠点に戻っている

 コロナ禍をきっかけに注目された地方移住。リモートワークが一気に広まったこともあり、そのハードルは下がっています。自然豊かな環境に魅力を感じつつ、拠点を移すことへの不安もあり、一歩踏み出せないワーキングペアレンツも多いのではないでしょうか。

 そんな懸念をひらりと飛び越え、地方拠点で子育てのスタートをきったのが、アクセンチュアのテクノロジー コンサルティング本部でアソシエイト・マネジャーとして働く今里 凌さんです。2021年2月から2022年3月の1年1カ月間、実家のある福岡へ拠点を移し、ほぼリモートワークで勤務しました。

 東京に住んでいた今里さんが地方拠点で働こうと思ったきっかけは長女の誕生です。「出産後は妻と一緒に育児をスタートして、できるだけ子どもと一緒に過ごしたいと思いました。里帰りというと通常は妻だけですが、それだと産後の特に大変な時期に、妻だけに負担が掛かってしまいます。それよりも夫婦いっしょに里帰りをして、そのまま1年くらい地方拠点で働いてみようと思ったのです。そこで妻と相談し、私の実家がある福岡へ拠点を移せないかと上司に相談しました」

 それが出産4カ月ほど前の2020年12月のことです。組織の上層部で検討が行われ、翌年1月に承認が下りました。東京の住まいを引き払い、福岡の実家に机、椅子、Wi―Fiなどリモートワークができる環境を整えて、2月に移り住みました。4月に長女が誕生し、育児がスタート。今里さんの両親も働いているので赤ちゃんのお世話は今里さん夫婦が主体、食事は交代で作っていました。