徐々に世の中に浸透しつつある、男性の育児休業。実際の取得率はいまだ6.16%(2018年度)にとどまるものの、政府でも「取得義務化」を訴える動きが出てくるなど、空気は確実に変わってきています。では、実際に育休を取得したパパたちは、家庭や仕事でどのような変化があったのでしょうか。一部の特別な“スーパーイクメン”ではない、普通のパパたちへのインタビューを通じて、社会の実相に迫ります。

育休を取った人
己波智司さん 会社員(設備管理会社勤務)

家族構成:妻(フルタイムの会社員)、長男(3歳)、長女(1歳0カ月)

育休取得経験
1回目 長男の出産から1年間
2回目 長女の出産から1年6カ月(予定)

「長く休むのが不安」 妻の一言で育休取得を検討し始める

 己波智司さんが育児休業の取得を考え始めたのは、1人目の子どもを妊娠中の妻が「産休と育休で1年間も休むのは不安」とつぶやいたのがきっかけでした。

 「周りの女性は1年間育休を取っている人が多いし、もともと妻はそこまで『根っから仕事好き』には見えていなかったので、長めに休むのだろうと予測していました。だから、『休むのが不安』と聞いた当初は驚きました」と己波さんは振り返ります。己波さんの妻はかなり前から勤め先で役職付きの立場になっていました。夫婦で話し合ってみると、妻は育休中に自分の所属部署だけでなく、隣の部署にも負担がかかることなどを心配していることが分かりました。

 妻の話を聞いた己波さんは、「それなら自分の方が育休を取ろう」と考えました。己波さんはもともと子どもが大好き。「小学生や中学生の頃は子ども会に入っていて、自分より小さい子どもたちと遊んだり、お泊まり会のサポートをしたりしていました。だから、もともと小さい子どもたちと一緒に過ごすことには慣れていたんです。子どもって、楽しませようとすると喜んで、懐いてくれる。リアクションがすごくいいのでこちらもうれしいですよね」

1回目の育休は反対されるかと思いきや……あっさり承諾

 育休の取得に向けて、己波さんは勤め先の設備管理会社で社内調整を始めました。「社内では、これまで男性が育休を取った例は1件のみ。当初は上司に反対されるのではないかと思っていました」。そこで、関連省庁や会社の就労規則などできる限りの情報を調べ上げ、準備した上で上司に相談したといいます。「ところが、意を決して『育休を取りたい』と言ったら、あっさりOKが出たんです」。期間を短くしてほしいなどの要求をされることもなく、とんとん拍子に社内で話が通って育休を取得できることになりました。

 当時の上司は己波さんが予測していた以上に、男性の育休取得に対して理解のある人だったといいます。人づてに聞いた話では、己波さんが育休中に開かれた会議で「男性の育休は前例がないことだけれど、みんなも応援してあげてな」と言ってくれていたそうです。

 「僕にとっては恩人ですね。でも後で周囲の人に聞いたら、実は僕が『育休を取得したい』と言い始めたときには、上司はすごくびっくりしていたそうです。『話がある』と呼び出されたので、『転職するのかな』などいろいろ想像していたけど、まったく予測していなかったことを言われたと(笑)。でも、話を聞くうちに『なるほど、これは大事なことだな』と納得して受け入れてくれたみたいです」

 こうして長男の出産後に育休に入った己波さん。1年間の育休の間に、子育てに対するイメージがガラッと変わったといいます。

次ページから読める内容

  • 上司が変わり、子育て中心生活は「わがまま」とされる
  • 地域の人たち、ママ友……支えてくれる環境に感謝するように

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