付箋を貼って夫婦で今後の方針をブレスト

育休取ったらこうなった2
妻との相互理解が深まり、「やっと任せられるね」と認められた

 小原さんの勤務先ではいわゆる「働き方改革」を進めており、リモートワークなどを活用して在宅勤務ができる体制を整えています。「こうした制度を使って、長期の育休を取る前からなるべく積極的に育児に参加しようとしていました。毎週末、妻に自由な時間を持ってもらうのを目標に頑張っていたんです。でも今振り返ると、当時はまだ不十分なところがたくさんあったんですよね」

 出産前に5日間の休暇を取ったものの、妻からは「まだ子育ての戦力にはなっていない」とはっきり言われていたといいます。それが2カ月間の育休を経て子育ての「型」を習得した結果、「米国から日本への帰り道で初めて妻に言われたんです。『やっと任せられるね』と。今まで仕事で言われたどんなほめ言葉よりもうれしかったです!」

 夫婦関係については、「育休期間中、育児だけでなく夫婦の会話の時間を充実させることができた点も良かったです」。小原さんと妻は同じ会社の同期ということもあり、子どもが寝ている時間を使って「互いの強み・弱みなど自己分析に加え、キャリアについてブレインストーミングして、自分たちのしたいこと・できることなどを『棚卸し』していきました。コンドミニアムの壁に付箋を貼って、日々感じたことや、互いに話し合って決めたことを整理していったんです。もはや『研修』みたいですよね(笑)。でも、ここでリラックスして議論できたのはとても良かったと思います。付箋をまとめると、自分にとって大切な信念を集めた『人生のクレドカード※』みたいなものができました」。夫婦間での理解が深まっただけでなく、育休後の仕事や育児をどう進めていくか、考えをまとめられたと言います。

※クレドカード:組織や人のあるべき姿や行動指針を簡潔な言葉で記したカードのこと

育休取ったらこうなった3
仕事の効率がアップ。ほぼ残業ゼロになった

 この連載「『育休』取ったらこうなった」では、登場した複数のパパたちが「育児に本格的に関わることで仕事の効率が上がった」と話してくれています。小原さんも同様に、「育休後、仕事の生産性が上がって、残業がほぼなくなりました」。では育児によって、具体的に仕事の何が変わるのでしょう?

 小原さんによると「保育園のお迎えの都合などで、『仕事を終わらせなければいけない時間が決まっている』というのが大きいですね。今まで非効率だった時間の使い方を変えて、ぎゅっと圧縮して仕事をしないといけないという意識が働きます」。その結果、業務量は変わらないのに、不思議と以前より短い時間で業務をこなせるようになったといいます。

 「もう一つ、子育てにおける『型』が身に付いた点もプラスに働いているかもしれません。物事の『型』を身に付けるには、全体像をしっかり把握することが重要です。育休経験によって『全体を見る』スキルが高まり、仕事の問題解決も早くなったところがあるんじゃないでしょうか。これは子育ての経験が仕事に生きている部分ですね」