育休のおかげで家事や育児を妻と同じレベルで語れる

　「初めて育休を取ったときは、社会との接点が切れてしまったように感じて、とにかく不安でした。一日があっという間に過ぎていくんです。もちろん家事や育児をしているのですが、仕事に行っていない自分は社会的に何もやっていないのではないかという気がして、虚無感にさいなまれました。

　ずっと赤ちゃんと2人きりなので話をする相手がおらず、妻が仕事から帰ってきたらとにかく話したくて、ずっとベラベラしゃべるんです。妻からは『仕事で疲れているんだから勘弁してよ』と言われました。よくある子育て中のママとパパのすれ違いですが、立場が正反対（苦笑）。子育て中のママの気持ちが本当によく分かりました。

　あとは、以前は街中で子どもを怒っている人を見たとき、以前は『そこまで怒らなくても』と思っていましたが、今は『ああ、怒りたくないけど怒っちゃうよね。分かる』と思うようになりました。育休を取ってしっかり子育てと向き合ったことで、見えるものや感じることは180度変わりましたね。何より、子育てにポジティブになりました。

　子連れで歩いていると、地域のおじいちゃんやおばあちゃんたちが話し掛けてきてくれたり、職場でも自分と同じように娘を持つ先輩たちが優しく接してくれたりするんです。人の温かさを知った、という感じで、世の中でいわれているほど世間は子どもに対してネガティブではないと感じました」

安田さんと2人の娘さん。仲むつまじい様子が伝わってきます（安田さん提供）