特技のバーベキューで、地域に子育ての輪を作る

育休取ったらこうなった2
「娘が育つ地元を良くしたい」と考えるようになった

 娘が1歳になり、妻が育休から職場復帰した後に田形さんは2度目の育休を取得しました。最初に取得した育休は、NICUという特殊な環境での経験でした。そのため、「改めて自宅で家事と育児を両立する育休も経験してみようと考えたんです」。

 一人で育児をする時間が増えた田形さん。平日も日中子連れで公園に行ったり、住んでいる地域を出歩いたりするのに伴って、心境の変化があったそうです。

 「公園で遊んでいると娘の保育園の同級生やそのママ・パパに会ったりするようになり、ここが、今自分が住んでいるこの場所が、娘にとってのふるさとになるんだと考えるようになりました。それなら自分もこの地域での子育てを楽しみたい、子育てのしやすい地域にしたいと。そのためにはどうしたらいいのかを考えるようになりました」

 高校時代には山岳部に所属したアウトドア派の田形さん。手始めに行ったのが、保育園のパパ友やママ友を誘ってのバーベキューでした。実は田形さん、日本バーベキュー協会が認定する資格を持つほどの腕前です。結果は、もちろん大好評。みんなが喜んでくれて仲もグッと深まり会話も増えました。

 田形さんのバーベキューは評判を呼び、自治会から声がかかることになります。自治会の夏祭りでそのバーベキューを実施して、地域の人を楽しませてほしいと。

 「ちょうど地域でのつながりに前向きになっていたタイミングだったので、やらせてもらうことにしました。張り切って60キロの肉を用意したのですが、たった1時間で無くなってしまってビックリ。後で聞いたら1200人くらい来たそうなんですが、こんなにも早く無くなるとは。終わった後も、たくさんの人たちに、おいしかったと声をかけてもらって、本当にやってよかったと思いました」

 翌年は倍の120キロを用意したものの、同じく1時間で無くなってしまったとか。社交的というよりも物静かなタイプの田形さんはバーベキューという特技に集まってきた人たちと親交を深めるようになり、日に日に自治会での存在感を高めていきました。

バーベキューで地域の輪を作る(写真は田形さん提供)
バーベキューで地域の輪を作る(写真は田形さん提供)