家事は種類ごとに1週間おきのローテーション。揚げ物マスターに

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家事スキルが向上。揚げ物ができるようになった

 羽田さんは事前に、育休中の家事の分担について妻と相談したといいます。妻も出産直後から、同時期に育児休業に入る予定でした。「育休中はどちらかに負担が偏らないように」「しんどいときはお互いに助け合う」のが基本方針。これを踏まえ、「妻の提案で、1週間単位で料理・洗濯・掃除など、担当する家事を交代することになりました」。つまり羽田さんのやるべき家事が、「今週は掃除・洗濯担当、来週は料理の担当……」と週ごとに変わっていくシステムです。当初は家事に慣れていなかった羽田さんでしたが、「1週間ごとに仕事が変わるといい気分転換になりました。しかも、前の週に妻が家事をする様子を見て、翌週の自分の作業の参考にできるのがよかったです」

 羽田さんには、特に料理について目標があったといいます。

 「一人暮らしが長かったので、料理をすること自体には抵抗はありませんでした。でも、手の込んだ料理は作れなかったんです。そこで育休中の目標として『できるようになりたい料理』を2つ決めました。1つは天ぷらや唐揚げなどの揚げ物料理。もう1つは自分で魚をさばく刺し身料理。隔週で回ってくる料理の当番のときに料理本を読んだり、妻に聞いたり、インターネットの動画を見たりといろいろなものを頼りにしながら挑戦しました。揚げ物料理は慣れれば意外に簡単だと分かったので、料理当番の度に揚げ物レパートリーが増えましたね。今では唐揚げや天ぷらのほか、チキン南蛮なども作れます」

 ちなみにもう1つの目標だった刺し身については、「育休中の3カ月半の間に、アジを3枚におろして刺し身にするところまではたどり着きました。でも、アジ以外の魚には手が回らなかったですね」とのこと。

 家事を夫婦で分担すると、「長女が日中よく眠ってくれたことにも助けられて、夫婦ともある程度、自由な時間を持つことができました」。家事・育児に慣れてからは、赤ちゃん連れで外食したり、家族で県外に1泊したり……といったこともできたといいます。「そんなふうに家族で過ごす時間を持てたことも、育休取得の大きなメリットだと感じました」

羽田さんの娘さん。生まれて間もない時期(写真は羽田さん提供)
羽田さんの娘さん。生まれて間もない時期(写真は羽田さん提供)
育休取ったらこうなった2
住宅ローンの借り換えを実行。金銭的負担を軽減できた

 一般に、育休中は収入が減ることがデメリットの1つと捉えられがちです。しかし、羽田さんは思わぬ形で「育休の影響による金銭的なメリット」を感じたといいます。

 「育休中は子どもと一緒に過ごす時間が増えます。すると、必然的に将来のことを考える機会が増えていくんですね。『保険はこのままで大丈夫かな? 今後、毎月の生活費はどのくらい必要になるのかな?』と。やがて育休中に確保できた空き時間を使って、保険の見直しや住宅ローンの借り換えを検討し始めました。やってみると分かるんですが、実は保険の見直しや住宅ローンの借り換えは、普段通りに働きながらやるのはけっこう大変なんです。役所などの公共機関や銀行などは、平日の昼間にしか開いていないことが多いからです」

 住宅ローンについては、借り換えによって「最終的な支払額を100万円近く抑えることができました。育休取得で収入が減ることを覚悟していましたが、実際には意外にも収支がプラスになったのです。そのほか、マイナンバーカードの申請など、今まで後回しにしていたことが片付きました。これも育休の意外なメリットでしたね」