なかなか広がらない男性の育児休業。取得率はいまだ7.48%(2019年度)にとどまります。ただ、前向きに取得する男性が徐々に出てきているのも事実です。実際に育休を取得したパパたちは、家庭や仕事でどのような変化があったのでしょうか。一部の特別な“スーパーイクメン”ではない、普通のパパたちへのインタビューを通じて、社会の実相に迫ります。

育休を取った人
境野和彦さん(仮名) 育休取得時27歳 会社員(建築関係)

家族構成:妻 会社員
長女(5カ月)

育休取得経験
長女誕生後 約1カ月

 もともとは、育休の取得には消極的だった境野さん。しかし、妻の出産が迫る2020年の春、新型コロナで世の中の雰囲気が一変し、方向転換せざるを得なくなりました。妻は当初、里帰り出産を予定していました。ただ、妻の実家には医療従事者がいること、移動により感染リスクが上がることなどを考えて、里帰り出産をやめることに。

 しかし、上司に意志を伝えたところ、「その間、どうやって仕事を回すんだ?」と、取り合ってもらえなかったと言います。

 境野さんは「育休は権利だからといって強行に取得する気は毛頭ありませんでした」と強調します。実際、育休を打診する際には、自分の業務をリストアップし、引き継ぎのスケジュールを上司に伝えるなど「現場への負担を最小限にし、業務が回るようにするためにできることはやりました」

 ただ、会社側は「人が足りない」「受け入れられない」の一点張り。最後まで前向きな反応を得ることができないままに、押し切るような形で取得に踏み切りました。

画像はイメージ
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