働きながらご飯を作ってくれるって、すごい

 もちろん、あまり家にいない母に対して、寂しい気持ちもありました。でも、だんだんと「働きながら、家事もして、おいしいご飯も作ってくれて、すごい」ということが分かってきたんです。

 母は家族を何より大事にしてくれました。その家族のために働いてくれているんだと、納得できたんですね。小学生になってからは、放課後に帰宅した私が毎晩のお米をといでいました。今の私が料理好き、家事好きなのは、小さい頃から手伝いをしていたおかげだと感謝しています。

 自分が母親になった今も、「家族においしいご飯を作る」ことは見習っています。やっぱり生活の基本は衣・食・住だと思うから。完璧にはできませんが、できる限りのことを、できる時間の中で、できるだけの思いを込めて全力でやろう!と思っています。

 今は息子が小さいので少しセーブしていますが、仕事はずっと続けたいし、絵や小説、モデルなどの活動を通じてどんどん表現もしていきたいですね。私が皆さんから応援してもらえるようになったのは、ファッションの仕事のおかげ。だから、女性に恩返しをできるような仕事も、見つけて実行していきたいです。

大変なことは「忘れちゃった」でOK

 子どもが生まれてから、いい意味で「肩の力が抜けて、気楽になってきているな」と感じます。

 例えば、独身時代なら「トーク番組でうまく話せなかった」と思うと落ち込んだり、悔しかったりして、何日間も引きずっていました。でも、子どもが生まれた今は、もっと気楽に、そして前向きに考えられるようになりました。独身時代にできなかったことや苦手だったことも、今なら再チャレンジできそうな気がします。そうやって努力したことを、いずれ子どもにも伝えられるといいな、と。母のように、自分の頑張りが家族を励ますモチベーションになったらうれしいですね。

 最近、母に「私と弟、子どもが2人もいて大変だった?」と聞いたら、「うーん、忘れちゃった」って(笑)。そっか、大変なことは忘れていいんだ、とまた肩の力が抜けちゃいました。楽しかったこと、嬉しかったことだけは覚えている。そんなふうに子育てを楽しみたいと思っています。

構成/三浦香代子 写真/洞澤佐智子