割り箸とビニールテープで新体操ごっこ

 私は、母の再就職に合わせて、4歳から保育園に通い始めました。それまで自宅で過ごしていたので、最初は保育園になじめませんでした。もともと人見知りな性格なので、自分の意見をハッキリ主張する女の子がいると、逆らえなくて。みんなで戦隊ヒーローごっこをするときも、「私はピンクだから、もえちゃんは緑色ね」と微妙な役割を割り振られて。「ピンクがいいな」と思いながらも口には出せずに、「うん」と従ってしまうような、おとなしい子どもでした。

 どちらかというと、みんなで遊ぶよりも、独りでお絵描きしたり、工作したりすることが好きでしたね。『タッチ』というアニメで見た新体操に夢中になり、割り箸にビニールテープを付け、新体操のリボンを何本も作っては、駐車場で新体操ごっこをして遊んでいたこともあります。

 ある日、いつものように保育園に行ったら無性に寂しくなって、「行かないで!」と泣きながら母を追いかけ、保育園の外まで出てしまったことがありました。でも、母はどうしても仕事に行かなくてはいけないので、「ごめんね」と。私はひとしきり泣いたらケロッとして、その後は保育園で遊んだようですが、母は迎えに来るまで心配で仕方なかったようです。

働く女性を間近に感じた保育園時代

 でも、保育園には楽しい思い出もあります。お昼寝の時間に眠れずに起きていたら、保育士さんがちょうどお昼ご飯を食べていたんです。「眠れないの?」と聞かれて「うん」と言うと、「こっちにおいで」と抱っこしてくれて、口にポンッとお菓子を入れてくれました。ふわーっととろけるような甘い味を今でも覚えています。

 ほかにも保育士さんが好きなチェッカーズの話をしたり、結婚退職する保育士さんを、子どもたちみんなで見送ったりしました。

 今思うと、初めて「働く女性」を間近に見たのが保育園時代。母と保育士さんを見て、「働く女性ってカッコイイ」「働くってステキだな」と小さいながらも感じていました。