子どもの習い事として人気があり、初めての習い事として選ばれることも多いスポーツ「水泳」。「今まさに習わせている」「これから習わせたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。この連載では、水泳を通じて子どもの生きる力を伸ばすコツや、効果的な親の関わり方などについて、数多くのマンツーマンレッスンを手がけるプロの水泳指導者である菅原優さんに聞きます。水泳を習うメリットについて紹介した1回目に続いて、2回目の今回は、親が子どもに水泳を教えるときの基本ポイントについて詳しく聞いていきます。

とても重要な「けのび」の姿勢

 まだ水泳を習い始めてはいないけれど「親子でプールに行ったときに教えられることがあれば教えておきたい」。水泳教室に通い始めたものの「思うように上達しないので、親としてサポートしたい」。そんなときは、まず何から始めればよいのでしょうか。

 数多くのマンツーマンレッスンの実績を持つSwimmy代表の菅原優さんは、水泳の基礎の大切なこととして、「ボビング」と「けのび」を挙げます。

 「ボビング」とは、水中に立ってからプールの底を蹴ってジャンプし、顔を水中と水上に出し入れして呼吸しながら上下運動をする動きのこと。呼吸の仕方を身に付ける上で欠かせない動きです。菅原さんによると、水泳教室では「顔つけ」や「もぐる」といった水慣れ練習からスタートし、「ボビング」をマスターできたら「けのび」の練習を始めるのが一般的とのこと。なかでも「けのび」は泳ぎの練習で最も重要だといいます。

Swimmy代表の菅原優さん
Swimmy代表の菅原優さん

 「泳げるようになるには、水中でいかに体のバランスを取るかが重要です。クロール、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎのいずれの泳法でも、泳いでいる途中で『けのび』のように体をまっすぐに伸ばした姿勢に戻るタイミングが必ずあります。これは、泳いでいるうちに姿勢が崩れることがあっても、『けのび』の姿勢がしっかりつくれれば泳ぎを立て直せるということを意味します。また、体がどこにも接していない状態でバランスを取る必要のある『けのび』の練習を続けていくことは、神経系や筋肉の発達にもつながります」

 次のページから、家でも取り入れられる「水慣れ」練習やフォームチェック、親が「ボビング」や「けのび」を教えるときのポイントなどについて紹介します。