管理職としてスタッフが動きたくなる形をつくるには?

 男性のマネジメントが悪いと言っているわけでは、もちろんありません。お伝えしたいのは、男性でも女性でもマネジメントのやり方は一通りではないということです。自分のやり方をどうやって見つけるかです。でも、それって簡単ではありません。私もこんな話をしていますが、いろいろ失敗を重ね、勉強をし、自分なりのマネジメント法を確立してきました。

 私が思う管理職の仕事とは、スタッフが自ら動きたくなるような形をつくることです。でも、つい5年くらい前までは、スタッフが思ったように動いてくれないとイライラすることもありました。マネジメントを変えなければと思ったときに役に立ったのが、子育ての経験です。考えてみると、管理職は部下を、親は子どもを、応援する役割です。どちらも人材育成。共通する部分が多いのです。

 子どもはどんなに叱りつけても、心の中に必要な条件がそろわなければ、進んで行動しません。遊びやゲームでさえそうです。私は子どもが動かないときは、どうしたらしたくなるだろうと、動き始めるために足りない要素を探すことに心をくだきました。そうして、少しずつ動き始めたら、いいところを「すごいね」と褒めます。すると、子どもはもっと成長したくなり、苦手なこともやったほうがいいなと自分で気づき、親が言わなくても動き始めるのです。ポイントは「いいところ」を探すことです。

 この、わが子の自己肯定感を高めようと向き合った経験はスタッフのモチベーションを引き出すときに生かされました。

 管理職としてうまくいっていなかった頃の私は、スタッフにもダメ出しばかりしていました。でも、マネジメントを変えなければと思ってからは、スタッフのいいところを見つけては「あなたのこういうところはすごいね、助かるよ」と言葉にするようにしたのです。自分の強みは意外と気づいていないものです。自分では当たり前と思っていることが多い。でも、そこを言葉にしてあげることで、スタッフは自分には価値があり、会社に貢献できていると思えるようになります。会社に対しても「ここの会社は自分をちゃんと見てくれる」と思ってくれるようになります。

 ここから後は、子どもの成長と同じです。もっと貢献しよう、スキルを上げようというモチベーションが生まれて、仕事の中で苦手なことにも進んで取り組んでくれるようになります。今ではスタッフのみんなが生き生きと自分から動いてくれるようになりました。