「自分をそこまで信用しない」と話す佐渡島さんの真意とは

 「日本には9年間の義務教育というものがあるので、まずは義務教育には行かせますよね。そこで子どもが感じる違和感や子ども自身がどうしたいと思うかを話し合っていくのが大切かなと感じます。後で話しますが、義務教育で習う知識は子どもの幹となる基礎知識なので、そこは軽んじてはいけないと僕は考えています。わが家の長男は、小学校に行きたがらないことがあるんですが、僕は小学校は行ったほうがいいかなと思うこともあるので、学校の先生と息子で話し合いなどをしています」

 そこでも対話が大事なのですね。

 「僕は自分をそこまで信用していないんです。だから、『絶対こうしたほうがいい』ということは子どもに対してでも、頭ごなしに言うことができない。でも、小学校には行かせたいわけです。対話を通して子ども本人が『小学校に行く意味』が腑(ふ)落ちすれば……と思っています」

 「僕は中学受験で甲陽学院中学校と麻布中学校を受験し、2つとも落ちてしまったんです」

 その経験が、今の仕事のスタンスにつながると佐渡島さんは言います。

 「中学受験のときもそれなりに頑張りはしたんですが、やっぱりショックでしたよね。そうした経験を積み重ねて、僕は自分をそんなに信頼していないからこそ、目の前のことに淡々と取り組んできたんだと思います。進学にしても起業にしても、目の前のやることを1つずつ一生懸命やっていくという積み重ねにより、その時々で新たなチャンスを得てきました」