8月特集「敏腕編集者・佐渡島庸平 子に伝える21世紀型スキル」で登場してくれた佐渡島庸平さん。講談社で『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などのヒット作を担当し、現在はクリエイターのエージェント会社「コルク」で代表を務め、3人のお子さんがいる父親でもあります。佐渡島さんの子育て論についての連載がスタートします。

子どもには欲望はあってもまだ意志はない?

 「親から子どもに与えられる影響は、姿勢だけ」「子どもは別人格だからこそ対話が必要」と佐渡島さんは言います。親の所有物ではないからこそ、子どもをコントロールしようとは思わないそうです。

 「基本的には好きに生きてくれればいいなと思っています。だから、勉強をやってもやらなくても、子ども自身が決めたことなら僕はそれを応援したい。けれど、同時に子どもはまだ自分自身の意志を知らないとも思います」

 それは、どういうことでしょうか?

 「子どもには『欲望』はあるけれど、まだ『意志』はないと思っています。例えば、子どもがゲームをし続けたいから他のことは何もしたくないと言ったとします。わが家の長男がまさによく言うことなんですが(笑)。それは目の前のしたいことに対する『欲望』であって、先を見据えた上での言動ではない場合が多いんですね。意志があれば、長期的なスパンで考えて今やるべきことは何かを見つめて行動に移すことができると思うのですが、意志というのは自分が成長していかないと出合えないものだと感じます。だから子どもが意志を持てるように、対話を重ねるようにしています」