米国企業、日本のシンクタンク、フランスにある国連機関などに勤めた異色の経歴を経て、ノンフィクション作家として活躍する川内有緒(ありお)さん。バリキャリ派に見えて、「直感だけを頼りに次に進むべき方角を決めてきた」と話す川内さんは現在、保育園児の母親でもあります。親になっても「守りに入る」という言葉とは無縁な生き方を貫く川内さんが「働くこと」について考える連載エッセー。3回目は「夫婦の家事育児シェア」について。
自由過ぎる男とだけは結婚すまいと固く誓っていた
私の両親は、ものすごーく控えめに表現したとしても、「オイル&ウオーター」、要するに「おしどり夫婦」の真逆だった。そもそも漁師の家系に生まれた父の行動原理は、自由奔放&一匹オオカミ&一獲千金。一方で、由緒正しい農耕民族の血を引いた母は、周囲と協力しあうコツコツ型。そもそもふたりの生き方がかみ合うわけもなく、家のなかにはよくハリケーン級の嵐が吹き荒れた。
そんなとき、私と妹は寝室に籠もりながら、首をかしげた。この人たち、どうしてずっと一緒にいるんだろう? 父が病で入院し、61歳でこの世を去ったとき、母は感慨深く言ったものだ。
「一生懸命やってきたから、悔いはない」
おいおい、オリンピック選手じゃないんだから、と笑ってしまったが、もちろん母はウケを狙ったわけではなく、100%本音トークだ。それくらい自由奔放な男との結婚生活は大変だったのだろう。
そんなわけで、若い頃の私は、自由過ぎる男とだけは結婚すまいと固く誓っていた。しかし人生とは不思議だ。34歳で結婚した7歳年下のI君もまた、とても自由な人であった。
そもそも、出会った頃のI君は、世界一周中の旅人だった。
次ページから読める内容
- 社会経験も蓄えもほとんどない、世界一周中の26歳
- 娘誕生、「互いの自由を尊重」と悠長なことを言えない状況に
- そして、いくつもの不文律や生活の工夫が編み出された
- 「??」「!!!」と思うこともしばしば。しかし……
- 劇的(?)な「カイゼン」、平和でハッピーな会話に
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