米国企業、日本のシンクタンク、フランスにある国連機関などを経て、ノンフィクション作家として活躍する川内有緒(ありお)さん。バリキャリ派に見えて、「直感だけを頼りに次に進むべき方角を決めてきた」と話す川内さんは現在、保育園児の母親でもあります。親になっても「守りに入る」という言葉とは無縁な生き方を貫く川内さんの連載エッセー。最終回は「女性の生き方」について。

働いてないプリンセスたち

 娘(5歳)は、世の女の子たちの例に漏れず、けっこうなディズニー映画ラヴァーで、プリンセスブームが一向に冷めない。おかげで、私もしょっちゅう一緒に映画を見るのだが、そのたびに、ぐぎぎ、と変な声を出しそうになる。だって、ディズニープリンセスたちって、全くもって働いてない(まあ、パーティーで踊ったり、魔法でスケートリンクを造ったりがお仕事なのかもしれないけど)。

 例外はシンデレラだが、彼女も別に好きで働いているわけでも何でもなく、王子さまと結婚したあとは、お城で優雅な暮らしをエンジョイしている様子だ。そんでもって、プリンセスもの映画の多くが、好きな男性と結ばれるか、もしくは結婚して終わる。だから、テーマソングが流れる頃には、叫びたくなる。

 ちょっと待ったあ! 人生、そこがゴールじゃないんだよ、これから何が起こるか分からないから、いまのうちにしっかり働いて経験を積んでおいたらどうだろう?

 ええ、プリンセスたちにとって、そんなの余計なお世話だって分かっている。いまめちゃくちゃ幸せなんだから、それでいいじゃん、とも思う。

母親(左上)と娘(手前)に挟まれた筆者。右上は妹
母親(左上)と娘(手前)に挟まれた筆者。右上は妹

 だから、せめて自分の娘にだけはそっと言っておこう。

 「面白かったね! でもいまは2020年だから、女の子だからこそ働いて自立しないとね」

 働いて自立せよ。私にこの精神を骨の髄まで叩き込んできたのは、私の母だった。そうそう、去年の夏に始まった「働き方」を考えるこの連載、あちこちに寄り道しながらいよいよ最終回である。最後なので、女性として働いてきた自分の人生を振り返りつつ、いま娘に伝えたいことを書くわけだが、まずは、ちょっと時計の針を巻き戻して、母、そして幼い頃の私の話から始めたい。

次ページから読める内容

  • 「教育だけが財産」夢を娘に託した母
  • 私が人生の急カーブを切り続けることを、静かに肯定し続けた
  • 女の子の親として不安になるニュースが飛び交う日本
  • 自分には選択権がある、と思える人生がいい