しかし、いまは子どもへの声がけ、特に、顔を見て話を聞くというなんでもないことこそが大切なのかもしれません。さすがにもうぐずったりはしませんが、「ちょっとマズいな」と思う顔つきをしていることはたまにあるからです。

 そういうときは、屋外に出て気分をアゲるよう後押ししたりもします。とにかく、緊急事態宣言下ではまず、一人ひとりが感染リスクを減らす行動をとることが要となりますが、子どもや若者たちの有り余るエネルギーを、安全に放出させる方法を一緒に考えることも大事なようです。

 若い親御さんたちにとっては、このパンデミックがおそらく最初の、手に余る外因的ハードルではないでしょうか。それじゃなくてもハードな子育て期を、「超絶ハード」にアップグレードするような社会情勢や自然現象にぶち当たると、今かよ!とツッコミを入れたくもなるし、「ついてないなぁ……」とへこみもしますよね。わたしにも、似た経験があります。あれは、息子が小学4年生になる直前の2011年。子育てが多少楽になり、体調も落ち着いてきた頃のことでした。

先のことは誰にも分からない、自分で決めよう

 東日本大震災を経験したとき、わたしと息子はいまと同じ、東京郊外の家に住んでいました。かなりの揺れを感じはしたものの、近所にいたので帰宅困難者になることもなく。家の土台にヒビは入りましたが、屋根を軽くする改装をしたばかりだったのは運が良かったと思います。それでも、あの日をきっかけに生活は一転しました。