今年5月末に公開した「ハーバード現役合格した娘の母が公立主義貫いた理由」の記事では、大分県でオンラインの英語教室、ディリーゴ英語教室を営む廣津留(ひろつる)真理さんに、「御三家を目指すような中学受験に無理をしてまで挑むことが、なぜ不毛なのか」を語ってもらい、大きな反響がありました。廣津留真理さんの一人娘で、現在はプロのバイオリニストや大学の客員講師として活躍しているすみれさんは、公立の小中高から塾に行かずに、2012年に米ハーバード大学に現役合格し、2016年に卒業。その力を育んだのは、幼い頃から親子二人三脚で取り組んだ家庭学習だったといいます。

廣津留さんに、子どもの底力を引き出す家庭学習のポイントについて語っていただく本連載。第2回の今回は英語学習法について。「アルファベットの書き取りはスキップして、英単語の暗記から入る」ことを廣津留さんは提案します。その理由とともに、ユニークで実践的な「英単語の覚え方」を指南してもらいました。

<本連載ラインアップ>
【1】 子に学習習慣を付けさせる「廣津留家流」目標管理法
【2】 廣津留真理 小6で準2級合格!1日5分の英語家庭学習 ←今回はココ

高学年で「読む」「書く」の学習がスタートした理由は?

日経xwoman DUAL(以下、――) 2020年に導入された新学習指導要領に沿って、これまで高学年からだった「聞く」「話す」を中心の英語学習が中学年から始まり、高学年ではさらに「書く」「読む」も加わった正式科目(外国語)となりました。21年の首都圏の中学入試では、143校が英語を採用し、英語教育の重要度がますます高まっています。そもそも、なぜ「読む」「書く」の学習が小学校からになったのでしょうか。

廣津留真理さん(以下、廣津留) 小学校での外国語活動(英語)と、中学校の外国語科(英語)の接続をスムーズにしたいからです。ちなみに中学校の英語科の中身も変わりました。英語には、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能があります。従来の中学英語では、テスト対策の文法と和訳中心の「読む」「書く」に比重をおいていたのですが、4技能をバランスよく伸ばす教育へ変わりました。

 「書く」は2種類あります。単語や文法をただノートに書写していた旧来の「書く」とは異なり、新しい英語の「書く」は「ライティング=英作文」です。自分の意見も英語で書きます。旧来よりも高度な文章力・語彙力が求められると同時に、内容もSDGsや多様性などを扱うので教養も必要になります。

 また、「話す」も2種類あります。「対話」と「発表」です。「対話」は旧来のいわゆる英会話に加えて、学校で使う単語や日常で使う自然な会話が含まれます。さらに「発表」は、中学生になると英語で自分の意見を述べることになります。そこで、「話す」と「ライティング」のベースとして小学校から「読む」と「書く」を学ぶことになりました。

 このようにして、ロジカルな議論が不得手とされる日本人をグローバル基準にアップデートするわけです。

覚えるべき英単語数は 小学生で600~700語に!

―― 高学年でさらに「読む」「書く」が加わったことで、特に学習面での変化はありますか。

廣津留 覚える英単語数が増えたことですね。中学校で覚える単語が従来の1200から最大で1800語に増え、その準備段階の小学校では600~700語暗記する必要があります。6年生では過去形も習います。自分が受けた教育と異なるため、不安を覚える保護者も多いようです。しかし、英語という言語が様変わりするわけではなく、学校のカリキュラムが変わっただけ。家庭学習で英語が身に付けられれば、何も心配することはありません。家庭教育でも十分、新学習指導要領を超えたグローバルに対応できる英語力を身に付けさせることができます。実際に、幼児でも家庭教育で中学3年分の教科書をはるかに超える英語力を先取りしてマスターする子もいます。

―― 家庭学習として、具体的にはどのように進めればいいのでしょうか。

写真はイメージ
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