新型コロナウイルスの影響で、働く環境や経済状況は大きく変わりました。税理士の田村麻美さんはこのコロナ禍を通して、子育て世代がこれからどう働いていくかについて、改めて考えさせられたそうです。そこで今回は、フリーランスやパラレルキャリアの働き方に詳しい平田麻莉さんとオンラインで対談。下編の今回は、「個の」力が大切になっていく時代に、会社員がどのように働いていくかや、自分の強みを知る方法、帰属先を分散する大切さについて話し合います。

【田村麻美&平田麻莉オンライン対談】
(上)フリーランスの3つの課題 知らずに独立は避けて
(下)会社員も「個」の力が大切 自分の価値を知るには? ←今回はココ

独立するかどうかは、あくまでも個人の選択

田村 新型コロナウイルスの影響でリーマン・ショック以上の不況になっていて、失業者が増えています。もともと、コロナ以前から、終身雇用の時代ではなくなっています。平田さんはコロナで「働く」意義がどう変わっていくと思われますか。

平田 コロナによって誰もが社会情勢の変化や影響を受けています。それでもやっぱり働くことで得られるものがあったり、実現したいことがあったりすると思うんです。ウィズコロナの時代は、安全な暮らしを確保しながら、それをどのように実現するか、自分の頭で考えることが大事だと思っています

田村 会社員のままでいた方がいいか、独立しようか、迷っている人もいると思うのですが、どう考えるとよいでしょうか

平田 独立するしないは個人の選択ですから、自己責任の覚悟がなければ独立するなといったことは、外野がとやかく言うことではないと思っています。ただ、会社が1人の人を一生雇用することがなくなったような時代でも、皆が皆フリーランスになるべきかというと、私はそうは思っていません。

 フリーランスは究極の成果主義で、きちんとパフォーマンスを上げて初めて報酬をもらえる世界です。いい仕事をしなければ、お客さんは笑顔で去っていくだけ。「とても助かりました。ありがとうございます」と言われても、成果の内容によっては2度と仕事を頼まれないこともあるわけです。

田村 厳しいですが、その通りだと思います。

平田 フリーランスでも会社員でも、今後大事なのは自分の帰属先のポートフォリオを分散化させられるかどうかということです。どのようなことか、順を追ってお話ししたいと思います。

平田麻莉さん(左)、田村麻美さん
平田麻莉さん(左)、田村麻美さん
平田さん:慶応義塾大学在学中にPR会社ビルコムの創業期に参画。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院への交換留学を経て、2011年に慶応義塾大学大学院経営管理研究科修了。同大学ビジネス・スクール委員長室で広報・国際連携を担いつつ、同大学大学院政策・メディア研究科博士課程に在籍し、学生と職員の二足の草鞋(わらじ)を履く(出産を機に退学)。現在はフリーランスで広報や出版、ケースメソッド教材制作を行う傍ら、2017年1月にプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会設立。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2020」受賞