人生100年時代の住まいで大切なこととは?
河崎 「人生100年時代」と言われるようになって、健康寿命の研究が進んでいます。健康と言うと、タバコをやめよう、運動をしようと言われがちなのですが、実は「人との関り」も大切なんです。誰かと関わって暮らすことが、健康に役立つということです。その中でもやはり、家族のつながりは一番大事なポイントでしょう。
子どもと親の核家族だと、家族の人数はどんどん減っていきます。子どもが大きくなって、独立するのなんて、あっという間です。共働きには仕事があるから寂しくないと思うかもしれませんが、「妻も夫も仕事、仕事」だと、1人暮らしが2人いるというような感じになってしまいます。実はこれは、私の体験談です。一人息子が大学入学を機にアメリカへ行ってしまった後、家がこんなふうになって「家って何だろう。やっぱり家族のつながりって大事だな」と思いました。
家族のつながりを考える上で重視したいのが「心地よい距離感」です。例えば、おしゃれなコーヒーショップの大テーブルは、知らない人ばかりで、皆スマホをいじったり、リモートワークをしているけれど、居心地は悪くありません。それは、大テーブルの効果です。たっぷりした大きさがあるから、隣り合う人と人の間に心地よい距離感を確保できるのです。
これは住まいの中でも言えること。大きいテーブルがあれば、家族みんながテーブルに集まってそれぞれのことをしていても気にならず、心地よい時間を過ごせます。
これからは少子化高齢化の時代です。子どもが巣立った後、一緒に住むのは、家族だけではなくなるかもしれません。友達、知人、色々な人と住まいをシェアするスタイルが出てくることが予想されます。そんなときにも、空間づくりにおいてそれぞれのライフスタイルに合わせた心地よい距離感を意識すれば、快適に暮らしていけるのではないでしょうか。
家族と過ごすリビングでもぜひ、この「心地よい距離感」を意識してください。先ほど、二世帯が一緒に過ごすとき何をしているかお聞きしましたが、おじいちゃんがテレビを見ているのと同時に、孫たちが遊んで、親はスマホを見たり、お茶を飲んだりしているという声が多かったですね。一緒にいて、お互いの気配を感じながらも意識しすぎることなく、思い思いのことをするほんわかした時間。これこそが「心地よい距離感」が生み出す、家族の幸せです。家づくりをする機会があれば、個室は小さくてもいいので、LDKをできるだけ大きくとり、心地よい距離感を保てる空間にすることをおすすめします。


取材・文/福本千秋 写真/木村 輝
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