親世帯は自由度の減少、子世帯は干渉されることを不満に思っている

河崎 積水ハウスでは二世帯同居の方に、困ったエピソードや出来事を聞いています。親世帯から多かったのは、「自由度が減少する」という声です。

親側の不満

「孫たちが帰る時間には家にいてあげたいので、勝手に遠くまで出かけたりはできにくい」
「キッチンを共有としたので夕食時の準備でお互い遠慮しながら使っている」

 一方、子世帯からは性格の不一致や親の干渉に困るという声が聞かれました。

子側の不満

「私生活に過度に干渉する」
「プライバシーがあまりなくなった。少し気をつかってほしい」
「生活のペースが違うため物音にお互いに気をつかう」

河崎 親世帯の自由度が減ったと実感されている方はいますか?

杉田 母はまさにその通りのことを言っていました。同居する前は、母は自由に出かけたり、家に友達を呼んだり、疲れたらリビングで横になってテレビを見たり、全て自由にできていたんです。でも、乳幼児が3人も同居することになって、家が保育園みたいになって、ゆっくり座ってご飯を食べることもできなくなってしまいました。子どもから「トイレ」と言われると、面倒を見ないわけにもいかないので、「私は保育士さんみたいね」と不満を言われています。母が静かに過ごしたいときは自分の部屋に引っ込まざるを得ないので、家を乗っ取ってしまったと感じています。

小倉 義父母の部屋にお菓子が置いてあるのを見て、個室で食べるのはやめたほうがいいのではと夫に言ってもらったんです。でも、実は、義父母も夕飯の後にリビングでテレビを見ながらお菓子を食べたりして過ごしたかったんですね。ただ、その時間帯は孫たちが寝る支度をする時間で、歯を磨いたりして、リビングでわちゃわちゃ大騒ぎなんです。そんなところで、お菓子なんて食べられないですよね。同居によって義父母がリビングでくつろげなくなってしまったことに、申し訳なく思っています。

早川 義母は、私たちが共働きで日中いない代わりに、子どもが帰宅する時間に家にいてくれます。もしかして自分の予定を調整してくれているのかな、不満があるかなと思うことはありますね。

竹中 うちの親は、趣味の世界があるので、そこでストレスを発散しているみたいです。子どもが小さいころは、とにかく孫を甘やかすのをやめてほしかったです。何度やめてといってもお菓子をあげちゃうんですよ。私が見てないところで、こっそりやっているので、もう信用できませんでした(笑)。

加藤 うちも不満がある時は本気でけんかします。夫が「仲良くしてよ」っていうくらい(笑)

河崎 娘は親に対して厳しいですね(笑)。他の妻の親と同居の方はいかがですか?

大野 うちは同居して1年ほどなので、もめていないですね。母が物覚えが悪くなってきて、同じことを何度も言ったり、頑固なところが多くなっているんです。そういうところにいちいちぶつかっていくことはないです。父に腹の立つことは多いですが、今は波風を立てないように、娘だけど遠慮して暮らしているところはあります。

河崎 妻の親との同居は妻側はストレスがたまりにくいと言いますが、そうでもないようですね。夫の親との同居の方はいかがですか。

長谷川 他人なのでむしろラクですよ。何か言われても「大家さん、今日も元気だな」って受け流せます(笑)。逆に夫は、自分の親だから、ちょっとした衰えにも敏感ですね。両親が老いてきて物忘れをしたり、困った行動をするのを見ると憤りを感じるようです。

河崎 長谷川さん自身はお嫁さんとして距離を置いて付き合えているんですね。

小倉 うちは、大人が4人とも働いているので全員平等です。家事の面で不満が出ないように、色々なことを想定して、設備で解決できることは、取り入れました。さっき話した食洗機もそうですし、お風呂は自動洗浄、掃除はロボット掃除機にしています。

河崎 同居していても、お互いに不満がたまると、疎遠になっていきがちです。長谷川さんが義父母を「大家さん」と捉えているように、二世帯同居を小さな社会と考えて、甘えられるときは甘えつつ、気遣いを持つことが大切ですね。

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