教師とうまく連携できれば、授業の資料探しやサポートもできる

―― 情報が共有できるかどうかで、司書の動き方は変わる?

衛藤 全く変わりますよ。例えば先日、職員室でお昼を食べていた時、体育の先生がラジオ体操をオンライン配信しようと考えていたので、「YouTubeにラジオ体操の公式動画があるのでリンクをはったらどうですか」と提案したら、それを受け入れてくださった。これも情報提供というひとつのレファレンスです。

宮崎 普段から職員室には、先生方向けに書架の本を展示していますが、オンライン授業が始まるので、パワーポイントや動画編集のハウツー本を置いたら、あっという間にごっそり借りていかれましたよ

―― 情報が入らないことへのもどかしさを感じるのは、学校司書をもっと活用してほしいと思うからですね。なぜ活用されないのでしょう。

衛藤 学校図書館の存在意義や司書の本来の役割が、まだあまり知られていないからでしょうね。

横山 そうだと思います。逆に、学校司書がいる学校を経験した先生方は(学校司書を活用しようとするので)すぐに分かります。

宮崎 そうですね。埼玉の県立高校では司書がいるのが当たり前ですが、先生方がどこまで図書サービスを体験しているかというのは、先生方が出会った司書の経験によって違ってきます。そして、司書との良い協働体験がある先生方は、その後もうまく学校図書館を使ってくれます。授業の構想段階から「こんなことを考えているんだけど、なにかおもしろい本はないですか」と聞いてくれるので、授業のための情報を収集するところからお手伝いして、授業づくりに寄り添う形で、提供する資料や方法を考えていくことができます

横山 出会った学校司書の質で、先生方の学校図書館への認識が変わるということになりますよね。

宮崎 だから学校司書は資料のことだけでなく、教育の変化についても学び続けていく必要がありますよね。学校司書はただ配置すればよいというものではなくて、長くキャリアを積んでいけるための雇用条件や、研修の機会などが保障される必要があると思います。

―― 次回は、新型コロナによる休校中に見えてきた図書館の新たな役割、学習センター・情報センターとしての図書館の未来像について聞いていきます。

取材・文/須藤みか イメージカット/PIXTA