職員室に席があるか、職員会議に出られるか

宮崎 私は司書として県の正規職員に採用されており、お二人に比べると恵まれている立場です。埼玉県ではもう40年以上、すべての県立高校に司書の資格を持つ正規職員を専任で配置しています。ただし全国的に見ると、小中学校で配置が進んだのとは逆に、高校では人が減らされています。

 私が働き始めた1998年当時は、全国の7~8割の高校に学校司書がいたんですが、司書資格のない人が図書館で働いたり、専任スタッフが不在になったりしたところが多く、現在学校司書が専任で正規雇用されている県は必ずしも多くはありません。また、東京都では今、都立高校図書館の運営を民間に委託する動きが進んでいます。雇用条件の問題だけでなく、民間委託になると指揮系統の問題などもあり、授業支援に関われないなどの弊害が出ていると聞きます

学校司書の待遇は必ずしもいいとは言い切れない。画像はイメージ
学校司書の待遇は必ずしもいいとは言い切れない。画像はイメージ

―― 学校司書の雇用形態は主に、宮崎さんのような少数の正規職員と、多数を占める横山さんのような非正規職員ですが、衛藤さんのような委託企業の社員も最近増えています。衛藤さん、やりにくいことは?

衛藤 教育委員会と委託企業との間で業務に関する契約が取り交わされるので、それを超えたこと、不足することはダメとされる。結局、何事も会社というワンクッションを置かなきゃいけないという面はあります。休校中も、僕の個人の電話番号は学校には伝えないことになっていたので、会社を通して連絡が来ました。緊急時にも学校から直接連絡がくることはありません。現場にいながら一枚隔たりがあるような感覚もあり、時折やるせない気持ちにもなります。その分、会社が防御壁になる場合もあるのですが。

横山 職員会議には出ているんですか。

衛藤 僕は出ていますが、同じ区内でも、出ていない司書もいます。管理職の考え方にもよるかもしれません。

―― 皆さんは職員室に自分の席があり、職員会議にも出ているのですね。

3人 はい。

―― 一方で、職員室に席がない司書や、職員会議に出ていない司書も少なくない。

宮崎 先生方とのコミュニケーションはとても大切です。非正規の職員で、出勤日数が少なければ、会議に出るのは難しい。そうすると、学校全体の動きが分からなくなります。でも、正規職員だからといってすべての情報が入ってくるわけではありません。進路指導や生徒会、学年などの先生方の個別チームの情報は、図書館にこもったままでは耳に入ってきません。

横山 校内の連絡の回り方によるものだと思いますが、司書には伝わってこない情報もあります。では、どうするかといったら、こっちから積極的に打って出るしかない。情報をくださいと伝えていくしかありません。