図書館は、ただ本を貸し出すだけの場所ではなく、子どもの学びをサポートするための大切な役割を担っています。なかでも、新学習指導要領に掲げられる「主体的・対話的で深い学び」の実現に、学校図書館の活用が期待されています。しかし私たち親は、その学校図書館の役割や内情をどこまで理解しているでしょうか。この連載では、子どもの学びを深めるための図書館の存在について考えていきます。

連載3回目に続き4回目も、学校司書が東京都の小中学校でどのように配置されているかや、その影響について、ライターの須藤みかさんがリポートします。

本の分類や新刊購入だけでなく「除籍」も大切な仕事

 学校図書館に学校司書が常勤しないと、どうなるのでしょうか。

 学校司書は公共図書館と同じように「日本十進分類法(NDC)」に基づき、すべての本を分類し、子どもたちの学びを意識して本を並べ、子どもたちが自然と本を手に取りたくなるような環境づくりを行っていきます。また、新刊情報にアンテナを張り、子どもたちや教員のニーズ、その学校の特性、教育目標にあわせて選書をして、予算内に収まる本を購入するのも司書の重要な仕事です。さらに、図書館のスペースは無限ではないので、本の廃棄(除籍)も行わなければなりません。

 「選書も大変な仕事ですが、もっと難しいのは除籍です」と話すのは、東京都内で小中学校の学校司書経験が豊富なAさん。

 廃棄対象は、破損本ばかりではありません。学校や社会状況などを考えながら廃棄する本を選んでいくのですが、蔵書を把握していなければできないこと。「週に一度しか出勤しない学校司書には荷が重いのではないか」とAさんは言います。

画像はイメージ
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 「異動した学校の図書館で、昭和の時代に出版された背表紙の字が見えないセピア色の本や、新しい国の建国といった世界情勢の変化が反映されていない本、日進月歩の科学情報が更新されていない図鑑が並んでいたことがありました」とAさんは言います。

 学校図書館には、規模にあわせて蔵書数の目標を示した「学校図書館図書標準」があり、18学級の小学校では1万360冊、などと文部科学省が設定しています。この標準を形の上で満たすために、除籍していないケースもあるようです。