ベジトレプログラムの「しゅうかく目安シート」
ベジトレプログラムの「しゅうかく目安シート」

 「実際に枝になっている様子を見ながら、自分の手で収穫するという非日常感もあるでしょうし、開放的な野外で、親子でリラックスしてレジャーとして楽しんでいるからということもあるかもしれません。また、新鮮でおいしいという理由もあるのかなと思います」(斉藤さん)

 ベジトレのプログラムは「育てる」「遊ぶ」「食べる」の3つのステップから構成されている。「イベントは1日なので、肝心の『育てる』というところができません。本当のプログラムは育てるところから始まります。親子のコミュニケーションをサポ-トできるように、『ベジトレもくひょうシート』『かんさつ記録シート』『しゅうかく目安シート』などをサイトからダウンロードして、利用者が畑で使えるようにしています」。栄養士兼料理研究家が考案した野菜嫌い克服レシピもサイトに掲載した。イベントの効果は上々という。

継続性のあるリアルな場ならではの売り

 「体験」に消費の流れが向かう昨今、収穫体験などを提供するマッチングプラットフォームなども盛んだ。「子どもに土を触らせたい」「子どもに農作業を体験させたい」という、都会に住む親の希望をかなえる選択肢は以前より増えている。

 「収穫だけを体験するのではなく、土を耕すところから継続的にできるのがシェア畑のメリット。最初は虫が嫌いだったという子どもが、続けていくうちにすっかり平気になったという話も聞きます。講習会やイベントも随時開催していますし、菜園アドバイザーとの交流や、また、中には頻繁に足を運ぶ土地オーナーさんもいらっしゃるので、継続性のあるリアルな場ならではのコミュニティーができることも少なくありません」(斉藤さん)

 ちなみに、土地のオーナーからみると、維持管理に苦労する農地や遊休地を、有効に活用できるメリットがある。アグリメディアは土地のオーナーから業務委託を受け、シェア畑として水道や簡易トイレなどの設備を整え、農具や資材、種などを用意し、菜園アドバイザーを採用して配置する。シェア畑の利用者は、土地のオーナーと賃貸契約を結び、利用料を支払う仕組み。農地保全に悩む土地のオーナーからの問い合わせは月100~150件はあるという。

働き方改革や福利厚生で法人に利用される場合も

 ここまで「30~40代のファミリー」層に焦点を当ててきたが、実はシェア畑の利用者は「自分の新たな趣味として借りている50代の人」「自身や、夫婦の趣味に利用している60代の人」の3つのグループに、ほぼ同じ割合に分けられるという。「刺さっているポイントはそれぞれ異なります。全体を見ると、『自分で作った野菜を食べる』ことに豊かさの価値を見いだす方が増えてきたのかなと思います」(斉藤さん)