共働きママ・パパには2つの顔がある。家庭では子育てしながら多様な商品やサービスを利用する消費者の顔を、社会ではさまざまなものやサービスの送り手としての顔を持つ。そんな共働きママ・パパに、公私の両面から役立つビジネストレンドを紹介する連載。

前編に引き続き「サブスクリプション」をテーマに、パパ視点から生まれた、共働きにはうれしい2つの新ビジネスのメリットや今後の展開などについて聞く。

<(1)共働きに効くサブスク>
【前編】 定額で玩具レンタルや習い事体験 パパ視点サブスク
【後編】 共働きのサブスクは「○○のアウトソーシング」が鍵←今回はココ 

成長率が大きすぎると赤字になるビジネスモデル

 和気あいあいとした女性たちの声に、時折男の子の声が混じる。都内のビルの1室。壁いっぱいに設けられた棚に並んだケースには、さまざまな玩具が年齢別に整理収納されており、作業テーブルでは、スタッフの女性たちが慎重に箱に玩具を詰めている。

 同社内の片隅で、働く人たちの様子をチラチラとうかがいながら宿題をしているのは、「トイサブ!」を運営するトラーナ代表の志田典道さんの小学生の長男。スタッフは皆子どもがいる女性たち。志田さんの妻も同社内で働いている。今どきのITスタートアップのようなイメージを持っていたが、ひと昔前の家内制工業といった雰囲気で、ここから全国の子どもたちに向けて玩具が送られていると思うと温かい気持ちにさせられる。

「トイサブ!」を運営するトラーナ代表の志田典道さん
「トイサブ!」を運営するトラーナ代表の志田典道さん

 役割を終えて同社に返送された玩具は、翌日か翌々日には次の家庭に発送されるため、同社内にあるのは在庫全体の1割~1.5割に過ぎないと志田さんは説明する。玩具がシェアされることは、ごみを減らすという観点からもメリットがある。知育玩具のサブスクリプションレンタルサービスという新ビジネスを日本で開始したのは2015年のトイサブ!が第1号だったというが今や、同様のサービスを提供する競合は複数出てきている。

 「競合が出てこないと消費者が比較検討することができず、競争も生まれないし、認知度が高まらず、マーケット自体の魅力がないとも思われてしまうので、競合は歓迎です。できれば大きい会社に入ってきてほしい。メーカーや卸は難しいかもしれませんが、小売店は参入する可能性があるのではと推測しています」

 注目度は高く、ユーザー数はどんどん増えているが実は悩みもある。