犬塚さんが解決したかった大きな課題は2点ある。まずは小さな教室も網羅する習い事サイトを作ること。そのために、犬塚さんは、教室からはお金を取らないことが大切だと考えた。無料であれば、広告予算をかける余裕のない教室も集まってくれるはず、と見込んだのだ。

 もう1点は、何度か体験してから習い事を決めたい、という課題。「無料で1回は体験レッスンができる教室は多いですが、2回目以降も無料というケースはほとんどないです」(犬塚さん)

 その2点を解決するビジネスモデルの仕組みはこうだ。「教室には情報を無料で登録してもらい、1~4回の体験枠をスクルーに無料で卸してもらう。その代わり、スクルーは、サイトを通じて、入会する見込みのある子どもを教室に紹介できます」

子どもの習い事・アクティビティ検索予約サイト「スクルー」
子どもの習い事・アクティビティ検索予約サイト「スクルー」

 親は、無料で会員登録して、習い事を探す。気になるものがあれば、体験のためのチケットを購入するシステム。例外もあるが、月謝制の習い事の場合、1回目は無料が一般的で、2回目以降の体験が有料となる。1チケットは500円で、1回1チケットというケースが多い。

 「1回目の無料レッスンの場合でも、スクルーのサイトから体験を申し込むと、チャット形式のメッセ―ジツールを使えます。仕事の休憩時間に必死で電話したけどつながらなくて、折り返しの電話が来たけど仕事中で出られなかった、というようなイライラから解消されるよう工夫しました」

 チケット販売の売り上げと、メディアとして機能するサイトの広告収入が同社の収入となる仕組み。「体験レッスンは1回しかできない」と誰もが諦めていた部分に目を付けて、教室側にも親側にも喜ばれる価値を作り出した。

 チケットについては、定額プランもある。自動継続の定額プランは単体で買うよりも少し割安で、有効期限が1カ月長い2カ月に設定されている。なぜ定額プランを導入しているのか。習い事を探している客にとっては、いったん決まれば、もうスクルーを利用する必要がなくなる。定額プランは、その課題を解決する将来展望と密接に関係している。以降は後編に譲り、ここで志田さんに再登場いただく。

自分で買って、捨てるなどを考えると…

 「お金を有効に使いたい、という人が増えていると思います。とりわけ妊娠~子育て期に必要なものについて、そのときしか使わない、無駄な資産だと感じている人は多い。月額3240円と聞くと、一瞬高いように聞こえるかもしれませんが、自分で買って、それを捨てるなどを考えると総合的に安いという判断をしてもらえています」(志田さん)