「習い事は、子どもの可能性を広げてあげるもの。でも、自分が経験したことのある習い事しか思い付けないのです」。もしかしたらわが子にぴったりかもしれないが、いきなり「津軽三味線」や「カポエイラ」といった検索ワードを打ち込む親は多くはない。「検索しても出てこない悩みに加えて、検索ワード自体を思い付けない状況に対しても解決法を提示したいと思いました」

知育玩具をどこで買えばいいか分からない

 「キャラクター推しの玩具ではなくて、子どもの発達に合わせた上質な知育玩具を買おうと思ったら、どこに売っているのか分かりませんでした」。こう話すのは、トラーナ代表の志田典道さん。志田さんは、小1、5歳、3歳、1歳の4児の父。

「トイサブ!」を運営するトラーナ代表の志田典道さん
「トイサブ!」を運営するトラーナ代表の志田典道さん

 「どこで買っていいか分からない上に、何を買っていいか分からない。さらに買いに行く時間もありません。自分たちでじっくり比較検討する時間がないから、何となくパッと買ってしまって後悔する。信頼できる人が代わりに決めてくれたらいいな、と思いました。子どもの発達に本当に役立ち、間違いのない鉄板のものを、時間をかけずに子どもに与えたいというニーズはあるな、と自分自身で実感しました」

 さらに、子どもはどんどん成長する。そのたびに玩具は増えて、置き場所に困る。「場所から始まるニーズもありました。調べてみると、今はマンション暮らしなどで、リビングで子育てしている人が多く、そもそも『可処分スペース』が少ない。おもちゃを置く場所と、生活に必要なもの、独身時代からのインテリアなど親の趣味のものとでスペースの奪い合いになっています」

「何のために働いているか分からない」スパイラルに陥る

 「子どもの可能性を広げることをちゃんとしてあげたいと思って稼いでいるのに、じっくり考える時間がないからしてあげられない。それでは何のために働いているか分からないですよね

 くしくも今回の取材で、志田さんと犬塚さんはそろってこう口にした。まさに共働き親の心の叫びを代弁するセリフといえる。こうして、親の悩みから芽生えた、2つのサービスが産声を上げた。

 犬塚さんが会社を辞めて、2017年4月から正式スタートさせたのは子どもの習い事・アクティビティ検索予約サイト「スクルー」。

 筆者もサイトを訪れてみた。自宅周囲の地図を表示させると、近くにある習い事が表示される。徒歩圏内なのに存在を知らなかった教室が複数表示され、「え、こんなところに○○教室があったの?」と何度も驚いてしまった。家の近くでも、普段の動線から外れていると、看板を目にしないこともある。また、例えばレンタルスペースなどで教室が開催されている場合、レンタルスペースのウェブサイトはあっても、個別の教室名を知らなければ普通に検索してもたどり着けないことも少なくないのだ。

「体験レッスンは1回のみ」と誰もが諦めていた部分に目を付けた

 犬塚さんはどんなビジネスモデルを考えたのだろう。