共働きママ・パパには2つの顔がある。家庭では子育てしながら多様な商品やサービスを利用する消費者の顔を、社会ではさまざまなものやサービスの送り手としての顔を持つ。そんな共働きママ・パパに、公私の両面から役立つビジネストレンドを紹介する連載。

前編に引き続き、共働きママ視点から生まれた、食育絵本について紹介する。見た目は昔からある「紙の絵本」だが、この絵本を彩るのは「サブスク」「地方活性化」「デザインスプリント」「ジェンダーフリー」など今どきのキーワードだ。

【前編】 多忙な親の罪悪感を解消 読み聞かせを活用して食育
【後編】 共働きニーズを掌握 パパにもアピールする食育絵本 ←今回はココ

読み聞かせを担当しているパパが多い

 「想像した以上に、パパからの反応がいいことはうれしい驚きでした」。クックパッドCEO室おりょうりえほんプロジェクトマネージャーの小宇根佳奈さんは振り返る。

 前編で見た通り、小宇根さんは、共働き子育て真っ最中の自身のモヤモヤ体験をきっかけに、月額500円(税抜)で毎月1冊のオリジナルの食育絵本が届くサブスクリプションサービス「おりょうりえほん by cookpad」という新規事業を立ち上げた。

 「意外にも、パパからの申し込みが多いです。読み聞かせを担当しているパパが多く、『絵本で子どもの教育に関われる』と感じている、また『せっかく読むなら、意味があると自分自身で納得した本を読んであげたい』という気持ちに刺さっているようです」

 絵本は、「興味」「素材」「科学」「親子で」「こどもだけで」という5つのテーマから、毎回1つのテーマを定めて制作されている。例えば「科学」がテーマの1冊は、浸透圧についての話題が、絵と写真を交えて説明されており、親子で気軽に読める料理絵本でありながら「料理は科学でもある」という視点を喚起する内容になっている。料理手法やレシピだけでなく、理系思考につながる刺激があるのは、親にとってありがたい。

 「なかでもイベントに参加して、その場ですぐに申し込んでくださるのはだいたいパパです」

実際にレシピを基に料理を作ってみるワークショップも開催している(写真は、リリースの際に行ったイベントの模様)(写真提供:クックパッド)
実際にレシピを基に料理を作ってみるワークショップも開催している(写真は、リリースの際に行ったイベントの模様)(写真提供:クックパッド)