地方と一緒に「ウィンウィン」の取り組み

 「自治体などで話を聞いたところ、食育基本法に沿って、行政としても、子どもたちに伝統食や特産品を伝えるなどの食育をしなくてはいけないが、どうしたらいいか分からないと困っていることが分かりました。そこで、一緒にワークショップをして、そのアウトプットを絵本にすれば、みんなにとってウィンウィンだなと気づきました」。ニーズに耳を澄ますことで、新たな展開につながった。「地方には魅力的なものがいろいろあります」

 「第1弾の取り組みとなった、北海道安平町は国産チーズ発祥の地。小学5年生から中学3年生の子どもたちが参加して食材などについてのワークショップを行い、ストーリーの概要まで子どもたちに作ってもらって、それを我々が持ち帰り、絵本にしました」

 第2弾の石川県では、石川県と発酵食大学と一緒に、 石川県の食文化を象徴する「発酵食」を題材にした親子ワークショップと、絵本作りワークショップを行う予定。また、山形県では、産学連携プロジェクトとして、東北芸術工科大学の学生とコラボレーションした。

食育でもIT企業っぽさがにじみ出る「デザインスプリント」

 実は、これらの絵本作りワークショップでは、新しい手法である「デザインスプリント」を導入している。GV(旧Google Ventures)とGoogleが提唱している思考法で、生産性が高まるため、クックパッド社内のさまざまな新規プロジェクトなどで頻繁に使われている「IT企業っぽい」手法だ。

 「5日間で、仮説を立てて、プロダクトの骨子を決めて、実際に作ってみて、ユーザーにあてて、改善までするというプログラム。短期間で確実に結果が出せ、社内で効果が実感されてきた手法です。例えばおりょうりえほんの付録を作るときなどにも、アレンジした手法を取り入れています。5日間の間に、目標設定やプレゼン、比較検討して投票するなどもすべて行います」