イベントとは、プロモーションの一環として、クックパッド本社のキッチンスタジオで不定期に開催している、親子向けワークショップのこと。絵本の読み聞かせの後、実際にそのレシピを基に、参加した子どもたちで料理を作る。「例えば、蒸し器に入れるなど一部の作業を除き、ほぼ子どもだけで茶わん蒸しを作ります。自分の子どもが自分で卵を割り、嫌いな野菜も食べた、など、子どもの変化を目の当たりにできます」

 「絵本がきっかけで『パパも料理をするようになった』という声も寄せられています。おりょうりえほんを申し込むと、クックパッドのプレミアムサービスも利用できるため、初めてクックパッドのレシピを活用して料理を始めた、というパパも多いです」

 実は、絵本の制作にあたって、こんな「裏コンセプト」も掲げている。「ジェンダーフリー」だ。パパが料理をするシーンもあれば、パパが子どもと留守番するシーンもあり、パパとママは同じ家事・育児チームのメンバーだ。「男の子だから、女の子だから、パパだから、ママだから、のような固定イメージはつくらないように意識しています。だからこそ、実際にパパからの申し込みが多いのはとてもうれしいです」

ニーズに耳を澄ますことでつながったキーワード

 おりょうりえほんのもう一つのキーワードは「地方活性化」だ。地方の人たちと一緒に食に関するワークショップを行い、そのアウトプットを絵本にする試みが2019年10月からスタートした。「共創」や「協働」などの言葉がビジネスの現場で飛び交っている昨今だが、最初から狙っていたわけではないという。

 「電話や、問い合わせメールフォームなどを活用して、どんどんアポを取っていくタイプ」と自身について説明する小宇根さん。「首都圏の方向けには親子向けワークショップを実施できていますが、地方の方向けにも何かリアルな場を提供できないかと思っていました。ツテをたどったり、アポを取ったりして、実際に地方へ足を運んで、自分たちが今取り組んでいる事業について説明し、『何かお困りのことはないですか』と尋ねたら、実はみなさんも悩んでいることが分かったのです