共働きママ・パパには2つの顔がある。家庭では子育てしながら多様な商品やサービスを利用する消費者の顔を、社会ではさまざまなものやサービスの送り手としての顔を持つ。そんな共働きママ・パパに、公私の両面から役立つビジネストレンドを紹介する連載。

今回は、共働きママ視点から生まれた、食育絵本について、前編と後編に分けて紹介する。見た目は昔からある「紙の絵本」だが、この絵本を彩るのは「サブスク」など今どきのキーワードだ。

【前編】 多忙な親の罪悪感を解消 読み聞かせを活用して食育 ←今回はココ
【後編】 共働きニーズすくう パパにもアピールする食育絵本

忙しくて食育ができない罪悪感に注目

 「食についての正しい知識や料理の方法を娘に伝えなくては、という気持ちはあったのですが、仕事で忙しいとそんな余裕はなかなかありません。プレッシャーだけがどんどん大きくなり、罪悪感を抱えてモヤモヤしていました」。そう話すのは、クックパッドCEO室おりょうりえほんプロジェクトマネージャーの小宇根佳奈さん。

 そんななか、小宇根さんの5歳(当時)の娘が保育園の調理実習でオムライスを作ったと聞いた。「実習当日までの2週間、保育士の先生が、オムライスの作り方についての絵本を繰り返し読み聞かせして、その結果、子どもたちは手順を覚えてしまったそうです。それを聞いて、子どもは、絵本をレシピ本のようにして料理が作れるのだと驚きました」。それが「おりょうりえほん by cookpad」のアイデアの源泉となった。

クックパッドCEO室おりょうりえほんプロジェクトマネージャーの小宇根佳奈さん
クックパッドCEO室おりょうりえほんプロジェクトマネージャーの小宇根佳奈さん

 「自分自身もそうでしたが、子どもに食育がしたいけど『時間がない』『知識もない』と悩んでいる親は少なくありません。ただ、それだけ多忙な毎日を送っていても、寝かしつけの際の絵本の読み聞かせだけは、頑張って取り組んでいる人が多い。新しい習慣を『オン』するのは無理でも、今ある習慣に置き換える形なら、食育もできるのでは、と思ったのがきっかけでした。市場を見ると、絵本のサブスクリプションサービスは存在しましたが、食育に特化したものはありませんでした」