北欧で子育て——と聞くと、どんなイメージがありますか。世界でも指折りの「幸せの国」として知られるデンマークで1児を育てる、元新聞記者の井上陽子さんが「DUALな幸せのカタチ」を模索する連載。多様な価値観に触れつつ、ジグザグと迷いながら進んできたこれまでを振り返ります。今回は、やっとパートナーを見つけた井上さんが、わずか数カ月後に思わぬ人生の選択を迫られます。

願ってもない大チャンス、だが、帰国する頃には41歳

 「ワシントン支局に行く気があるか」と打診されたのは、38歳の誕生日を目前にした頃だった。大学院留学中に衝撃的な論文を読み、パートナーを見つけることを優先しようと思い立ってから5年以上。ようやく「この人は」という相手に巡り会えてから数カ月、というタイミングだった。

 入社した頃、確かに私は、「将来はワシントン支局」と希望を出していた。でもそれは15年も前の話で、当時は社会部に配属されていたこともあり、特派員、しかもワシントン支局など青天の霹靂(へきれき)である。

 私のキャリアにとっては、願ってもない大きなチャンス。うれしさで、胸が高鳴った。ただ、行くとなれば米大統領選挙をにらんでの赴任となるので、日本に帰国する頃には、私は41歳になっている計算だ。この話を受けるということは、私の人生にとって、いったい何を意味するのだろうか。私はとっさに判断できず、上司に返事を少し待ってほしいとお願いした。

不妊治療のクリニックで帰国後の「妊活」について聞く

 遠距離恋愛になったために彼との関係がうまくいかなくなり、この先待っているかもしれない結婚・出産のチャンスをふいにしたら、私はいつか、ものすごく後悔するのではなかろうか。

 しかし、そんな事情を上司に話すのもはばかられる。なんせ彼とは付き合って数カ月、まだ自分にも先の見えない話である。「なんで、よりによって今……」と恨めしく思ったが、女性のキャリアって、けっこうそんなものなのかもしれない

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  • 初めて、親を頼る
  • エキサイティングなワシントン生活。ところが…
  • ワシントンを離れるのはつらかった。でも…

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