この国には世界最大の精子バンクがあるが、独身女性が精子提供を受けてシングルマザーになるのも珍しい話ではなく、逆に男性が卵子提供を受けることもある(最近も、ある56歳の著名人が卵子提供でシングルファーザーになった)。パートナーがいても結婚しない人は多いし、離婚・再婚が多いから、血縁関係がない人同士が家族になることもざら。

 だから、今の私が完全無敵な幸せのカタチ、などと主張する気はまるでない。偉そうに言わせていただくなら、生きやすい社会っていうのは、「それもあり」と思える幅が広い社会ではないだろうか。日本、米国、デンマークと異なる価値観を持つ人々に触れながら、「まー、それもありか」の幅を広げてきた私の経験を、この連載でお伝えできれば、と思っている。

デンマークでは、赤ちゃんをベビーカーに乗せ、外で昼寝させるのが一般的。私もよく散歩していました(写真提供:井上陽子)
デンマークでは、赤ちゃんをベビーカーに乗せ、外で昼寝させるのが一般的。私もよく散歩していました(写真提供:井上陽子)