北欧で子育て――と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか。世界でも指折りの「幸せの国」として知られるデンマークで子育て中の、元新聞記者の井上陽子さんが「DUALな幸せのカタチ」を模索する連載。多様な価値観に触れつつ、ジグザグと迷いながら進んできたこれまでを振り返ります。今回は、デンマークの出産事情などについて。いよいよ最終回です。
「妊娠して出産に至る確率は4%」と医師に言われつつ不妊治療を続け、「体外受精(IVF)を残り1回」と決めてから、治療をしばしお休みしていた2019年春のこと。
妊娠検査が陽性になった。
あれほど医学の力を頼ってだめだったのに、自然に妊娠。そういうことって、たまに聞いても実際にはものすごく低い確率の出来事だと思っていたから、しばらくは半信半疑だった。
かかりつけ医のドクター・ニルセンに妊娠の報告に行った時、普段は全く余計なことを言わないこの老医師が「おめでとう」と言うか、私は興味津々だった。なんせ私はこの人の前で、不覚にも泣いてしまった(5回目記事参照)わけだし。
「では、自然に妊娠したということですね?」と聞かれて、「そうです」と私。ニルセン医師の反応は、「Strange(変だね)」だった(笑)。そして、「体というものは時々、そういう奇妙なことをします」とも。
でも、このベテラン医師に奇妙と言わしめるような「奇跡」が自分に起きたんだなと、おめでとうと言われるより、かえってうれしかったのを覚えている。
「システムが妊婦をタフにする」
第1子の時は妊娠8カ月ごろまで米国で過ごしたので、 デンマークでの妊婦生活は初めてだったのだが、所変われば考え方もここまで違うか、という経験の連続だった。

次ページから読める内容
- 第2子で自然分娩なら出産の数時間後に帰宅
- デンマーク人の母親に気づかされること
- 「幸せの授業」で学んだこと
- プロセスそのものに意味を感じられるか
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