仕事の経験を家事や育児に生かし、家事や育児の経験を仕事に生かす。二兎を追って、二兎を得る好循環サイクルを生み出す秘訣を、各界で活躍するプロフェッショナルたちに聞く新連載。第3回に登場いただくのは、大手広告代理店、電通でコピーライターを務める魚返洋平さん。長女が生後1カ月のときから、約半年間の育児休業を取得。職場復帰した現在も、ほぼ毎日、朝8時半に保育園に送り午後6時に迎えに行くなど、積極的に育児に関わっている魚返さんに、コピーライターとして培った経験をどのように子育てに生かしているのか聞きました。夫婦で一緒に行う子育てがもっと楽しくなるヒント満載の魚返流子育て術を、前編と後編に分けてお伝えします。

<電通コピーライター 魚返洋平さんインタビュー>
【前編】 「粉ミルク=父乳」言葉の力で夫婦子育て楽しく
【後編】 読み聞かせで即興力発揮「まず自分が楽しむ」 ←今回はココ

仕事と「育児のある暮らし」の共通点

日経DUAL編集部(以下、――) 半年間の育児休業を経て、職場復帰してもうすぐ2年になりますね。仕事と子育ての両立生活はいかがですか?

魚返洋平さん(以下、敬称略) うーん。育休を取得した体験を講演で話したり取材されたりする機会があるため、首尾よく余裕を持ってやっているように見えるかもしれませんが、実際は模索だらけでほとんど余裕はありません(笑)。ただ、復帰して少し経ったころ、仕事と「育児のある暮らし」には共通点があると気づいてから、まあまあ楽しめるようになりました。

―― どのような共通点が?

魚返 僕の場合、クライアントや掲載する媒体などから与えられたルールの中で表現を考えるのが主な仕事です。つまり、ルールという制約がある。一方、「育児のある暮らし」も、毎日○時には保育園にお迎えにいかないといけない、ある程度決まった時間に食事をさせないといけない、○時までには寝かせないといけない、など各家庭で生活の決まりごとがあります。

 ルールや決まりごとがあるから、 やることを絞ってそこにエネルギーを集中できる。優先順位が見えるというメリットがあるわけです。 もし、「規則正しく生活しなくてもいいよ」という状態で子育てしろと言われたら、どうでしょう。逆に優先順位をつけられなくて、動きづらくなるのではないでしょうか

魚返さんと娘さんのツーショット写真。生後5カ月までは文字通りの「乳母車」におさまっていた(右)が、今ではベビーカーすら卒業し、歩くこととしゃべることを好む2歳児に(左2点)。写真は魚返さん提供
魚返さんと娘さんのツーショット写真。生後5カ月までは文字通りの「乳母車」におさまっていた(右)が、今ではベビーカーすら卒業し、歩くこととしゃべることを好む2歳児に(左2点)。写真は魚返さん提供