子どもの柔軟な発想に触れたことが、視点を変えるきっかけに

井出 娘はレゴデュプロやアンパンマンブロックで遊ぶのが好きなのですが、斜めの屋根として作られたブロックを、裏にしてベッドに見立てて人形を寝付かせたり、同じものを滑り台に見立てて公園を作ったりすることがあります。

 また、アイフォンのイヤフォンをパパのお部屋から持ち出してきて、おもちゃのフライパンにのせ「今日はおそうめんですよ〜」とおままごとに使っていたこともありました。大人だったら決まった使い方しかできないけれど、そんな風にも使えるんですね。そうした子どもの柔軟な発想に触れることは、「視点を変える」いいきっかけになります。

 実は、私の息子は偏食があるのですが、当初、弊社のサービスは、息子のように偏食の子やアレルギーのある子どもを持つ、働くママの食事の悩みを、食の専門家が解決するサービスとしてスタートしました。でも、実際に起業してみると、食事の悩みは子どもを持つ親に限らず、糖尿病や生活習慣病などの病気があったり、妊活やダイエットをしていたりで、食事制限された献立を考えるのが苦手な人など、世代を問わずに対象者が広いことに気づきました。

 視点を変えて今の事業を見てみると、食のサポート事業としての展開だけではなく、食を通じたヘルスケアのサポート事業にも展開できることに気づいたんです。

―― それは大きな気づきでしたね。

井出 今までは、「働くママの子育て支援」とアピールすることで、登録者を増やしてきましたが、このまま同じ切り口で続けても、いずれ頭打ちしてしまいます。ママ向けの料理代行サービスという枠組みを飛び越えて、食事を通じて健康管理をしたいと思っている人たちは全員お客さまになり得ると確信しました。「設計された通りに使って遊ぶ」以外の遊び方を見たことで、凝り固まっていた考え方がほぐれていったのだと思います。