仕事の経験を家事や育児に生かし、家事や育児の経験を仕事に生かす。二兎追って二兎を得る好循環を生み出す秘訣を、各界で活躍する仕事のプロフェッショナルたちに聞くこの連載。6回目にご登場いただくのは、夫婦で外資系コンサルティング会社に経営コンサルタントとして勤めながら、副業として、知育玩具・幼児教育サービスの会社を立ち上げた花岡直毅さんと花岡愛子さん。4歳と3歳の男の子と、6月に生まれたばかりの女の子を育てる花岡夫妻が、今後のグローバル社会で求められる人材像を踏まえ、自分たちの子育てや子どもたちの教育において実践していることとは?

「子育て・教育領域を仕事にしたい」と副業で起業

DUAL編集部(以下、――) お二人とも同じ外資系コンサルティング会社の経営コンサルタントで、未就学の二人の息子さんを育てながら、副業で知育玩具の開発・販売をする会社まで夫婦で立ち上げました。とてもパワフルですね。

花岡直毅さん(以下、花岡直) パワフル…確かに、はたから見たら何足のわらじを履いているんだ、と驚かれるかもしれません。ただ、私たちにとっては起業は必然でした

花岡愛子さん(以下、花岡愛) 本当にそんな感じです。私自身、長男を出産して以降、会社では仕事、家に帰ったら子ども、というように器用に頭を切り替えることができず、24時間、常に仕事のことと子どものことが並列で頭を占め続けてきました。だったら子育て・教育領域も仕事にしたほうがいいのではないか、ということで、自然と起業に至りました。

―― 子育ての興味関心の延長上で起業したということですね。お二人が開発した「HEMPS」という積み木とAIを組み合わせたおもちゃは、数学的な能力を伸ばすSTEM玩具ということですが、なぜ「数学」に着目したのでしょうか。

「子育て・教育領域も仕事にしたい」と、副業として子どもの知的成長を可視化する幼児教育サービスのスタートアップ、プレイシップを立ち上げた花岡夫妻。グローバル展開も見据え、数学教育を専門とする大学教授にサービス内容の監修を依頼。ビジネスモデル特許も出願中
「子育て・教育領域も仕事にしたい」と、副業として子どもの知的成長を可視化する幼児教育サービスのスタートアップ、プレイシップを立ち上げた花岡夫妻。グローバル展開も見据え、数学教育を専門とする大学教授にサービス内容の監修を依頼。ビジネスモデル特許も出願中

花岡直 コンサルタントのさがとして、子育てや教育に関連したデータを徹底的に調査する中で、欧米の幼児教育が、数学的能力を磨くことに重きを置いていることに気づいたためです。人間を含む動物は、生まれつき、「マス・アビリティ」などと呼ばれる数学的能力を備えているそうです。子どもたちのそうした感覚をさらに磨き、伸ばすためのサポートをしたい、と考えたことが商品開発のきっかけとなり、また、自分たちの子育てにおいても、特に重視すべきポイントとして意識するようになりました。

―― 「マス・アビリティ」とはどんなものなのでしょうか。