仕事の経験を家事や育児に生かし、家事や育児の経験を仕事に生かす。二兎(と)追って、二兎を得る好循環サイクルを生み出す秘訣を、各界で活躍する仕事のプロフェッショナルたちに聞く新連載。第1回にご登場いただくのは、東証1部上場企業の経営者でありながら、図解やフレームワークなどのビジネススキルに関する著書や講演も多い「知的生産研究家」の顔も持ち、小学1年生の男の子のパパでもある永田豊志さん。【後編】では、仕事にも子どもの教育にも役立つ、人を上手にモチベーションアップさせる方法などについて語っていただきました。

ショーケース永田豊志さんインタビュー
【前編】 18時退社のパパ社長 時間感覚を小1息子にも伝授
【後編】 子どもの勉強はインセンティブと締め切りで導く ←今回はココ

「勉強をやれ」と言わなくてすむ仕組みを用意

日経DUAL編集部(以下、――) 小学1年生のお子さんの勉強をほぼ毎日見ているそうですね。子どもに勉強する習慣を身につけさせることに苦労しているパパやママは多いと思うのですが、永田さんはどのように取り組んでいますか。

永田豊志さん(以下、永田) そうですね。私自身も「勉強をやれ」と親に言われたことがないので、子どもにも「やれ」と言わなくてもすむような仕組みを用意するようにしています。仕事も一緒で、上司に「やれ」と言われてやる仕事は楽しめないし、精神的にもつらいと思います。つらい環境だと、人の脳は萎縮してしまい、学びの生産性が落ちると聞いたことがあります。仕事でも子育てでも、本人がやりたくないと言ったら、それ以上やらせないというのが、私のモットーですね。

―― 勉強を「やれ」と言わなくてもすむ仕組みとは、いったい、どのようなものなのでしょうか。

「小さいインセンティブ」を「毎日与える」のがポイント

永田 勉強を「楽しみ」に変えることです。インセンティブと締め切りを用意する。この2点ですね。お気づきだと思いますが、これも仕事と一緒です(笑)。やっぱり、終わった後に何かお楽しみがあるのとないのとでは、取り組む姿勢が変わってきます。わが家では、おやつを「3時だから」という理由ではなく、インセンティブとして与えています。「宿題が終わったらアイスクリームを食べよう」といった感じですね。普段当たり前に与えているものでも、子どもにとっては十分なご褒美になります。アイスかどうかが問題ではなく、後のお楽しみがあるかどうかの問題です。その証拠に、シール1枚でも、子どもは目を輝かせて喜びますから。

 こうした小さいインセンティブを、毎日与えるのがポイントです。学習塾の難しいプリントを終えたご褒美としては、子どもが大好きなアニメのコレクションカードを用意しています。ひもがついているため、何が出るかわからないワクワク感も楽しいようです。ちなみに学習塾は、別に受験のためではなく、本人が体験して、「やりたい」と言ったので通わせています。

―― いろいろなインセンティブを用意されているんですね。他にもありますか?